III7
III7 は主にメジャー・キーで使われる。 和声的機能は、サブドミナント・メジャー IVmaj7(IV6)へのセカンダリ・ドミナントI7 の代理コード、VI へのドミナント、平行調のドミナントなどがある。
対応するスケールには、フリジアン♯3、オルタード・スケール、ホール・トーン・スケールなどがある。
私は、ハーモニック・メジャー・スケールの3度のダイアトニック・コードは III7 だと考えているが、ハーモニック・メジャー・スケールに対応するオルタード・♯5・スケールが III7 と関係が深いかどうかと問われると微妙と答えるほかない。
サブドミナント・メジャー への セカンダリ・ドミナント I7 代理の III7
メジャー・キーにおいて、III7 は、サブドミナント・メジャー IVmaj7(IV6)へのセカンダリ・ドミナントは I7 である。 また、そのトライトーン代理 ♯IV7(♭V7)もよく知られている。 さらに、サブドミナント・メジャー IVmaj7(IV6)の直前に III7 が置かれている曲も少なくないことに気づく。
- On The Street Where You Live(Frederick Loewe)の33-34小節目
- On The Sunny Side Of The Street(Jimmy McHugh)の2小節目
- Someday My Prince Will Come(Frank Churchill)の2小節目
この III7 を、私はサブドミナント・メジャーへのセカンダリ・ドミナント I7 の代理コードだと考える。 I7 とそのトライトーン代理 ♯IV7(♭V7)は、ホール・トーン・スケールに対応することがあるが、サブドミナント・メジャー IVmaj7 の直前の III7 もまたホール・トーン・スケールに対応するケースがあるということが根拠である。 つまり、代理コードの要件のひとつ、スケールを共有しているという条件も満たしているし、I7(♯5) と III7(♯5) もコードとしてもよく似ている(長9度のテンションを含めればなおさらである)。 また、もう1つの仮説として、I7(♯5)/III が III7(♯5) に転じたという見方も成り立つだろうと考えている。
サブドミナント・メジャーへのセカンダリ・ドミナント I7 の代理コード III7 に、実際にホール・トーン・スケールが対応するケースは、今日では少ないかもしれない。 ほかに、対応するスケールとして、フリジアン♯3、オルタード・スケールをあげることができる。
録音をチェックすると、関係コードとして VIIm7 や VIIm7(♭5) が先行する例も少なくない。
VI へのドミナント III7
III7 が VI へのドミナントとして機能していることがある。 進行先は、メジャー・キーの場合、主にトニック・メジャー代理 VIm7 や VI7(関係コード []IIIm7]] や IIIm7(♭5)が先行する場合も含む) などであろう。 前者はセカンダリ・ドミナントである。 また、後者の多くはエクステンデッド・ドミナントの一環であることが多い。 いずれもフリジアン♯3やオルタード・スケールが対応する場合が多い。
また、関係コードとして、VIIm7 や VIIm7(♭5)] が先行することがある。
平行調のドミナント
メジャー・キーの III7 は、平行調のドミナント(平行調からみて V7)であるケースも少なくない。 対応するスケールは、フリジアン♯3やオルタード・スケールの場合が多く、また、関係コードとして、VIIm7 や VIIm7(♭5)] が先行することが多い。