ダイアトニック・コード
全音階(的)と訳される「ダイアトニック」という概念を正確に理解することは難しいが、ジャズでは、ある音がスケール(一般にキーに対応するメジャー・スケールとマイナー・スケール)上にあるか否か、というように理解して差し支えないだろう(この理解は厳密には不正確であるが)。
その上で、あるコードのすべてのコード・トーンが、あるスケールに含まれているとき、そのコードは、そのスケールのダイアトニック・コードである、という。 また、あるスケール上に存在しない音が1つ以上あるコードのコード・トーンに含まれているとき、そのコードは、そのスケールのダイアトニック・コードではない(ノン・ダイアトニック・コード)。
例えば、G7 のコード・トーンは、G・B・D・Fである。 これらの音はすべてCメジャー・スケール(C・D・E・F・G・A・B)に含まれている。 したがって、G7 はCメジャー・スケールのダイアトニック・コードであるといえる。
ただし、注意点もある。 例えば、G6 のコード・トーンは、G・B・D・Eで、これらの音はすべてCメジャー・スケールに含まれている。 しかし、一般に G6 はCメジャー・スケールのダイアトニック・コードとはみなされない。 なぜなら、ジャズでは、G6 のようなシックスス・コードと Gmaj7 のようなメジャー・セブンス・コードをメジャー・コードとして同一視するが、Gmaj7(G・B・D・F♯)がCメジャー・スケールのダイアトニック・コードではないからである。
ダイアトニック・コードは、それぞれのスケールの音をルートとし、スケール上の音を機械的に3度ずつ音を積み上げることによって作られるとされてきた。 しかし、ジャズでは、コードだけではなく、それに対応するスケールを考えることが重要である。 したがって、私は従来の機械的に音を3度ずつ重ねてダイアトニック・コードをつくる方法に異を唱えたい。 具体的なダイアトニック・コードについては、それぞれの項目(ナチュラル・メジャー・スケール、メロディック・メジャー・スケール、ハーモニック・メジャー・スケール、ナチュラル・マイナー・スケール、メロディック・マイナー・スケール、ハーモニック・マイナー・スケール)を参照されたい。