「マイナー・♯5・コード」の版間の差分
Naoki Yoshioka (トーク | 投稿記録) ページの作成:「西洋音楽では本来、ルート、短3度、増5度からなるトライアドは、少なくとも基本的なトライアドには含まれない。 なぜならば、そのようなトライアドの増5度は、実際には異名同音(的音程)の短6度であることがほとんどで、その場合、そのコードは短6度の{楽音|音}をルートとするメジャー・トライアドの第1…」 |
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2024年10月13日 (日) 23:52時点における最新版
西洋音楽では本来、ルート、短3度、増5度からなるトライアドは、少なくとも基本的なトライアドには含まれない。 なぜならば、そのようなトライアドの増5度は、実際には異名同音(的音程)の短6度であることがほとんどで、その場合、そのコードは短6度の{楽音|音}をルートとするメジャー・トライアドの第1転回形であるからである。
ジャズ和声においても基本的な考え方は同じで、マイナー・コード(マイナー・セブンス・コード、マイナー・メジャー・セブンス・コード)の増5度は、実質的には異名同音(的音程)の減6度である。 これはマイナー・シックスス・コードの5度を増5度に変更するコードが存在しない理由でもある。
ところが、ジャズを始めとするポピュラー音楽では、コード・シンボルにより、従来の音楽理論においてメジャー・トライアドの第1転回形とされていたコードを便宜的にマイナー・トライアドの5度のコード・トーンを半音上げて増5度にしたものと表記されることがある。 よって、マイナー・♯5・コードが便宜上、存在しているといってよいだろう。
この慣例は、トライアドに限らずテトラドであるジャズのマイナー・コードにおいても同様である。 したがって、当サイトでもマイナー・セブンス・♯5・コードやマイナー・メジャー・セブンス・♯5・コードの項目を立てた。
このように考える理由は、クリシェをコード・シンボルで表記するときに都合がよいからであろう。 「♯5」表記の代わりに「♭6」や「♭13」のような表記をすればよいという意見もあるかもしれないが、そもそもテンションではないので「♭13」という表記はなじまないし、また、「♭6」という表記をいたずらに増やすよりは、従来から存在する「♯5」の 表記を流用したほうがよいという判断もあるものと推測する。
さて、ジャズにおいて、すべてのコードはテトラドとして考えるという原則があるが、原則には例外がある。
マイナー・コードのコード・トーンの5度を半音上げて増5度(厳密には短6度)としたとき、コード・トーンの7度が短7度であるか、長7度であるかが必ずしも確定できないというケースがある。 これは特に、一連のクリシェにおいて生じる。 このようなとき、コード表記はルートの音名に「m(♯5)」を続けて記すことになる。
なお、このような場合もコードの和声的機能はマイナー・セブンス・♯5・コードやマイナー・メジャー・セブンス・♯5・コードと同様なので該当項目を参照されたい。 また、対応するスケールは、ナチュラル・マイナー・スケールやハーモニック・メジャー・スケールから7番目の音を省略した共通部分(1・2・♭3・4・5・♭6)と考えてよいだろう。
なお、このとき完全11度のテンションは短9度音程ができることを気にせずに使うことができ、また9度のテンションは、メロディのようなトップ・ノートがコード・トーンの3度である場合を除いて使うことができる。