II7

提供:コード辞典

II7ダブル・ドミナントである。

ダブル・ドミナントは、ドミナントへのドミナントとされるので、一般にドミナントに関係するコードに進行しやすい。 また、II7ドミナント機能を持つので、VIm7VIm7(♭5)関係コードとして先行する。

II7 に対応するスケールは、メジャー・キーでは主にミクソリディアンミクソリディアン♯4ホール・トーン・スケール、マイナー・キーでは主にオルタード・スケールフリジアン♯3である。 ホール・トーン・スケールに対応するとき、原則としてコード・シンボルII7(♯5) と記される。

メジャー・キーにおけるダブル・ドミナント II7

メジャー・キーにおける II7 に対応するスケールは、主にミクソリディアンミクソリディアン♯4ホール・トーン・スケールである。 また、ブルージーメロディのときには、一般にオルタード・スケールが対応する。 ただし、テーマのメロディがミクソリディアンに対応する場合であっても、ソロではミクソリディアン♯4になるケースもある。

  • ミクソリディアンの例
    • There Will Never Be Another You(Harry Warren)の13-14小節目
  • ミクソリディアン♯4の例
    • Desafinado(Antônio Carlos Jobim)の3-4小節目(ホール・トーン・スケールも可能)
  • ホール・トーン・スケールの例
    • Take The `A' Train(Billy Strayhorn)の3-4小節目
  • オルタード・スケールの例
    • Gee Baby, Ain't I Good To You(Don Redman)の3小節目前半

メジャー・キーでは、ダブル・ドミナント II7関係コードとして VIm7 が先行することが多い。 これは、トニック・メジャー代理とのピボットとなっていることが多い。 ただし、II7 がホール・トーン・スケールに対応するとき、関係コードは原則として先行しない。

メジャー・キーの II7 は、主に次のコードに進行する。

また、メジャー・キーの II7 は、トニック・メジャー Imaj7 とその代理コード VIm7II7 へのドミナント VI7 とその代理コード ♭III7(それぞれ関係コードが先行する場合を含む)などから進行する。 VI7♭III7 は、ほとんどの場合エクステンデッド・ドミナントの一環であろう。

また、II7 に進行するトニック・メジャー代理 VIm7 は、II7 の関係コードに相当するが、このコードが II7 に対して相対的に「弱拍」に置かれるとき、いわゆる「呼び込みの関係コード」として機能する。

マイナー・キーにおけるダブル・ドミナント II7

マイナー・キーにおいて、ダブル・ドミナント II7 に対応するスケールは、オルタード・スケールまたはフリジアン♯3のいずれかであることが多いが、これらは実際にはそこまで厳密に区別されないことも多い。 いずれも、短9度と短13度のテンションを持つという共通点がある。

マイナー・キーでは、ダブル・ドミナント II7関係コードとして VIm7(♭5) が先行することが多い。 これは、トニック・マイナー代理とのピボットとなっていることが多い。

マイナー・キーの II7 は、主に次のコードに進行する。

また、マイナー・キーの II7 へは、トニック・マイナー Im とその代理コードVIm7(♭5)II7 へのドミナント VI7 などから進行する。

II7 の代理コードや関係の深いコード進行

ダブル・ドミナント II7代理コードとして、トライトーン代理♭VI7 がある。 これは、マイナー・キーで特に好まれる傾向にある。

また、メジャー・キーにおけるダブル・ドミナント II7 は、トニック・ディミニッシュ(特に ♭IIIdim7) と関係がある。

例えば、こんにち ’S Wonderful(George Gershwin)の27-28小節目は ♭IIIdim7 で演奏することが多いが、もともとは II7であった。

ただし、対応するスケールに注目すると、 II7ミクソリディアンであるのに対して、♭IIIdim7ディミニッシュ・スケールであるため、スケールは共通していない。 よって、♭IIIdim7II7 の代理コードとみなすよりも、リハーモナイズしたものと考えるほうが妥当かもしれない。