II7

提供:コード辞典
2024年10月19日 (土) 10:55時点におけるNaoki Yoshioka (トーク | 投稿記録)による版

II7ダブル・ドミナントである。

ダブル・ドミナントは、ドミナントへのドミナントとされるので、一般にドミナントに関係するコードに進行しやすい。 また、II7ドミナント機能を持つので、VIm7VIm7(♭5)関係コードとして先行する。

II7 に対応するスケールは、メジャー・キーでは主にミクソリディアンミクソリディアン♯4ホール・トーン・スケール、マイナー・キーでは主にオルタード・スケールフリジアン♯3である。 ホール・トーン・スケールに対応するとき、原則としてコード・シンボルII7(♯5) と記される。

メジャー・キーにおけるダブル・ドミナント II7

メジャー・キーにおける II7 に対応するスケールは、主にミクソリディアンミクソリディアン♯4ホール・トーン・スケールである。 また、ブルージーメロディのときには、一般にオルタード・スケールが対応する。 ただし、テーマのメロディがミクソリディアンに対応する場合であっても、ソロではミクソリディアン♯4になるケースもある。

  • ミクソリディアンの例
    • There Will Never Be Another You(Harry Warren)の13-14小節目
  • ミクソリディアン♯4の例
    • Desafinado(Antônio Carlos Jobim)の3-4小節目(ホール・トーン・スケールも可能)
  • ホール・トーン・スケールの例
    • Take The `A' Train(Billy Strayhorn)の3-4小節目
  • オルタード・スケールの例
    • Gee Baby, Ain't I Good To You(Don Redman)の3小節目前半

メジャー・キーでは、ダブル・ドミナント II7関係コードとして VIm7 が先行することが多い。 これは、トニック・メジャー代理とのピボットとなっていることが多い。 ただし、II7 がホール・トーン・スケールに対応するとき、関係コードは原則として先行しない。

メジャー・キーの II7 は、主に次のコードに進行する。

また、メジャー・キーの II7 は、トニック・メジャー Imaj7 とその代理コード VIm7II7 へのドミナント VI7 とその代理コード ♭III7(それぞれ関係コードが先行する場合を含む)などから進行する。 VI7♭III7 は、ほとんどの場合エクステンデッド・ドミナントの一環であろう。

また、II7 に進行するトニック・メジャー代理 VIm7 は、II7 の関係コードに相当するが、このコードが II7 に対して相対的に「弱拍」に置かれるとき、いわゆる「呼び込みの関係コード」として機能する。

マイナー・キーにおけるダブル・ドミナント II7

マイナー・キーにおいて、ダブル・ドミナント II7 に対応するスケールは、オルタード・スケールまたはフリジアン♯3のいずれかであることが多いが、これらは実際にはそこまで厳密に区別されないことも多い。 いずれも、短9度と短13度のテンションを持つという共通点がある。

マイナー・キーでは、ダブル・ドミナント II7関係コードとして VIm7(♭5) が先行することが多い。 これは、トニック・マイナー代理とのピボットとなっていることが多い。

マイナー・キーの II7 は、主に次のコードに進行する。

また、マイナー・キーの II7 へは、トニック・マイナー Im とその代理コードVIm7(♭5)II7 へのドミナント VI7 などから進行する。

II7 の代理コードや関係の深いコード進行

ダブル・ドミナント II7代理コードとして、トライトーン代理♭VI7 がある。 これは、マイナー・キーで特に好まれる傾向にある。

また、メジャー・キーにおけるダブル・ドミナント II7 は、トニック・ディミニッシュ(特に ♭IIIdim7) と関係がある。

例えば、こんにち ’S Wonderful(George Gershwin)の27-28小節目は ♭IIIdim7 で演奏することが多いが、もともとは II7であった。

ただし、対応するスケールに注目すると、 II7ミクソリディアンであるのに対して、♭IIIdim7ディミニッシュ・スケールであるため、スケールは共通していない。 よって、♭IIIdim7II7 の代理コードとみなすよりも、リハーモナイズしたものと考えるほうが妥当かもしれない。

IV' へのドミナント I7 に先行する関係コード Vm7 に進行する II7

メジャー・キーにおいて、II7Vm7 に進行することがある。 この Vm7 は多くの場合、サブドミナント・メジャーへのセカンダリ・ドミナント I7 に対して関係コードとして先行している場合が多い。

このとき、II7 についてはダブル・ドミナントではなく、単なる広義のドミナント(広義のセカンダリ・ドミナント)と考えることもできる (個人的にはダブル・ドミナントと厳密に区別することにさほど大きな意義を見出すことができないが、このように注意深く観察する視点はとても重要だと考える)。

このとき、多くの場合、II7 に対して関係コード VIm7 が先行する。 また、II7 に対応するスケールは、原則としてミクソリディアンであろう。