コード・シンボル
コードをあらわす記号をコード・シンボルという。 コード・シンボルは、コードの種類をあらわし、 また、テンションとベース音をそれぞれ指定することができる。
即興音楽であるジャズにおいて、コード・シンボルは、ソロやコンピングを演奏する上でスケールを特定する手がかりとなる。 よって、こんにちではコード・シンボルはスケール・シンボルとしての役割を持つといえる。
コード・シンボルの書き方には多くのバリエーションが存在するが、おおむね次のような順序で記す。
まず、ルートの音名(通常は英音名)を記し、続いてコードの種類をあらわす英数字や記号を書く。 次にコード・トーンの一部に変化が加えられていたり、テンションの指定をしたりする場合には、その旨を記号等で記す。 ベース音をルート以外の音に指定するときは、スラッシュ記号「/」もしくは、英語で「on」と書いてからその音名を書く。 あるいは分数のように「分母」にベース音、「分子」にそれ以外のものを記すこともある。
さまざまな表記法
コード・シンボルが普及してからまだ歴史が浅いため、正書法というものがなく、表記の統一や標準化がじゅうぶん行われていない。 したがって、書き手や出版社、地域によって表記の仕方にさまざまな違いがある。 以下に、当サイトでの表記と、それ以外のさまざまな表記法についてできるだけまとめた。
- maj
- M、MA、ma、MAJ、△
- m
- MI、mi、MIN、min 、-
- m7(♭5)
- ø、ø7
- dim7
- dim、○、○7
- 数字の前の♭
- -
- 7(♯5)
- aug7、+7、7aug、7aug5、7+、7+5
- 7(♯5, 9)
- aug9、+9、9+、9+5
- 数字の前の♯
- +
- (♯5)
- aug、aug5、+、+5
- sus4
- sus、4
また、ビッグ・バンドの譜面では、できるだけ少ない文字数でコードを表記しようとする傾向がみられ、多くの省略記号を用いるだけでなく、C79 を C9 と書くなど、数字を大きな数字にまとめて表記することが少なくない。 このような数字の省略については次ににまとめた(略記法に続き、当サイトでの記法を掲げた)。 音名、maj、mなどの直後に6や7以外の数字が続く場合は、この表にしたがって読み替えるとよいだろう。
- 4
- sus4
- 9
- 79
- 音名あるいはmaj直後11
- 7sus4
- それ以外の11で、かつ7の表記がない場合
- 7(9, 11)
- m13
- 7(9, 11, 13)
- 13(mがなく、かつ♭9や♯9がない場合)
- 7(9, 13)
- 13(♭9や♯9がある場合)
- 713
以上から、いくつかの表記を当サイトの表記法にすると以下のとおりになる。
- CM7 → Cmaj7
- C-9 → Cm79
- Cø9 → Cm7(♭5, 9)
- C-7-5 → Cm7(♭5)
- C+7・C7+ → C7(♯5)
- Caug9・C9aug・C9+5・C95+ → C7(♯5, 9)
- C7-13 → C7(♭13)
- Cm11-5 → Cm7(♭5, 9, 11)
- Cm13 → Cm7(9, 11, 13)
- C13(♭9) → C7(♭9, 13)
また、変化音やテンションの表記には、書き手の癖や理解度が反映されがちである。 なかには明らかに不適切な事例や、理解不足に起因する混同も見られる。 どうしても理解できない表記があったら、典型的な混同の例を以下に示すので、 これを参考にして読み替えを検討していただきたい。
変化音 | テンション | テンション(単音程表記) | |||
---|---|---|---|---|---|
♭5 | ♯11 | ♯4 | ♯5 | ♭13 | ♭6 |