♭VIdim7
IIdim7、IVdim7、VIIdim7 とともに、私はサブドミナント・ディミニッシュだと考えている。 サブドミナントとは4度の気取ったいい方なので、「サブドミナント・ディミニッシュ」とは、「4度(をルートとする)ディミニッシュ(・コード)」、すなわち IVdim7 であるが、同じ和声的機能を持つ転回系も含める。
♭VIdim7 について、私は、ハーモニック・メジャー・スケールとハーモニック・マイナー・スケールの6度のダイアトニック・コードだと考えている。 これらのスケールの6度から機械的にダイアトニック・コードをつくると、それぞれ ♭VImaj7(♯5)'、♭VImmaj7(♯5) ができる。 ところが、これらのスケールの第4モードであるリディアン♯2♯5やリディアン♯2は、メジャー・セブンス・♯5・コードやマイナー・メジャー・セブンス・♯5・コードに対する実用的なスケールとはいえない。 一方、リディアン♯2♯5やリディアン♯2を注意深く観察するとそれぞれディミニッシュ・スケールが含まれていることに気づく。 したがって、私はハーモニック・メジャー・スケールとハーモニック。マイナー・スケールの6度のダイアトニック・コードは ♭IVdim7 だと考える。
これらのことから、♭VIdim7 に対応するスケールとして、メジャー・キーの場合はリディアン♯2♯5が、またマイナー・キーの場合はリディアン♯2が考えられるものの、実際にはテーマのメロディのときに限定されるのであって、ソロのときはディミニッシュ・スケールが対応すると考えてよいだろう。 また、テーマのときであってもディミニッシュ・スケールが対応することもあるだろう。
♭VIdim7 は、実質的に V7(♭9)/♭VI であることが多い。 したがって、和声的機能はドミナント V7 の代理コードである。
メジャー・キーにおけるドミナント代理 ♭IVdim7
メジャー・キーの ♭VIdim7 に対応するスケールは、原則としてディミニッシュ・スケールと考えてよいが、テーマのときに限りリディアン♯2♯5の場合もあるだろう。
♭VIdim7 に対応するディミニッシュ・スケール、リディアン♯2♯5は、それぞれ V7(♭9) に対応する半音-全音ディミニッシュ・スケール、ミクソリディアン♭2とすべての音が共通している。
メジャー・キーの ♭VIdim7 には次のような例がある。
- Wave(Antônio Carlos Jobim)の2小節目。サブドミナントへのセカンダリ・ドミナント I7 へのドミナント V7 の代理コードであろう。メロディは、ディミニッシュ・スケールともリディアン♯2♯5ともどちらとも考えられる。
メジャー・キーにおけるドミナント代理 ♭IVdim7
マイナー・キーの ♭VIdim7 に対応するスケールは、原則としてディミニッシュ・スケールと考えてよいが、テーマのときに限りリディアン♯2の場合もあるだろう。
♭VIdim7 に対応するディミニッシュ・スケール、リディアン♯2は、それぞれ V7(♭9) に対応する半音-全音ディミニッシュ・スケール、フリジアン♯3とすべての音が共通している。