転調
楽曲の途中で、それまでのキーから別のキーに変わること。
曲全体のキーはそのままに、数小節から10数小節程度一時的に転調するように作曲された楽曲もあれば、アレンジメント(編曲)として、例えば、最後のコーラスの全体あるいは後ろの何小節かを半音あげるといったような転調をすることもある。
作曲としての転調
ジャズは、1コーラス数小節から数10小節単位を繰り返して演奏されることが多い。 このなかで、一時的に転調する曲は少なくない。
特に、マイナー・キーのほとんどすべての曲は、平行調のメジャー・キーに転調するといえる。
また、どこまでを転調とみなすかは人によって意見が分かれることも少なくない。
平行調や同主調を転調して行き来するように作られた曲はそれほど珍しくない。 また、平行調や同主調の一方のキーで始まり、他方のキーで終わる曲も少なくない。
- メジャー・キーで始まり平行調のマイナー・キーで終わる曲
- Autumun Leaves(Joseph Kosma)
- マイナー・キーで始まり平行調のメジャー・キーで終わる曲
- Fly Me To The Moon
- You'd Be So Nice To Come Home To(Cole Poter)
- メジャー・キーで始まり同主調のマイナー・キーで終わる曲
- (調査中)
- マイナー・キーで始まり同主調のメジャー・キーで終わる曲
- Jeannine(Duke Pearson)
- 'Round Midnight(Thelonious Monk)
このほか、Unforgettable(Irving Gordon)や Why Did I Choose You(M. Leonard, H. Martin)のように、まるで2つのキーにまたがるように作られている曲もある。 また、Giant Steps(John Coltrane)は3つのキーの転調を繰り返していると考えることもできる。
Comrade Conrad(Bill Evans)のように、すべてのキーに転調するように作曲されたものもあれば、Peace(Horace Silver)のようにわずか10小節の間に、Gマイナー・キー、B♭マイナー・メジャー・キー、Aメジャー・キー、D♭メジャー・キーの4つのキーへの転調を繰り返している曲もある(Peace 3小節目前半のコード Bmaj7 は、B♭メジャー・キーのナポリタン・コードと考えて転調とみなさない)。
編曲としての転調
最終コーラス全体や後ろの何小節かからなる1つか2つのセクションを半音あげるように、編曲として転調することがある。
また、複数の楽曲をつなげて演奏するメドレーでは、楽曲が変わる箇所で転調が行われることが多いであろう。
ジャズは、コーラス単位を何度も繰り返すので、作曲としての転調は、元のキーに戻ってくることが前提である。 いっぽうで、編曲としての転調の場合、別のキーに転調したらそのまま元のキーに戻って来ないことが多い。