「コード・シンボル」の版間の差分

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# [[ベース音]]
# [[ベース音]]


コード・シンボルの書き方には多くのバリエーションが存在するが、おおむね次のような順序で記す。
=== ルートの音名 ===


まず、[[ルート]]の[[音名]](通常は英音名)を記し、続いてコードの種類をあらわす英数字や記号を書く。
一般に英音名であらわす。
次に[[コード・トーン]]の一部に変化が加えられていたり、テンションの指定をしたりする場合には、その旨を記号等で記す。
ベース音をルート以外の音に指定するときは、スラッシュ記号「/」もしくは、英語で「on」と書いてからその音名を書く。
あるいは分数のように「分母」にベース音、「分子」にそれ以外のものを記すこともある。


=== コードの種類 ===
ジャズでは一般に以下の5つに分類される。
ルートの音名に続くコードの種類をあらわす記号を括弧内に示す。
# [[メジャー・コード]]
## [[メジャー・セブンス・コード]]('''maj7''')
## [[シックスス・コード]]('''6''')
# [[マイナー・コード]]
## [[マイナー・セブンス・コード]]('''m7''')
## [[マイナー・メジャー・セブンス・コード]]('''mmaj7''')
## [[マイナー・シックスス・コード]]('''m6''')
# [[ドミナント・セブンス・コード]]('''7''')
# [[ハーフ・ディミニッシュ・コード]]('''m7<sup>(♭5)</sup>''')
# [[ディミニッシュ・コード]]('''dim7''')
=== コード・トーンを変化させる指示 ===
ジャズでは主に以下の2つが使われる。
* [[4度の掛留和音]]('''sus4''')コード・トーンの長3度を完全4度に変化させる。
* 増5度('''<sup>(♯5)</sup>''')コード・トーンの完全5度を増5度に変化させる。
=== テンションの指定 ===
詳細は[[テンション]]を参照。
* 9度のテンション
** 短9度(♭9)
** 長9度(9)
** 増9度(♯9)
* 11度のテンション
** 完全11度(11)
** 増11度(♯11)
* 13度のテンション
** 短13度(♭13)
** 長13度(13)
* [[メジャー・コード]]
** '''maj9''' は、'''maj7<sup>9</sup>''' をあらわす。
** '''maj13''' は、'''maj7<sup>13</sup>''' をあらわす。このとき、長9度のテンションも暗黙的にあらわしていることも多い。
* [[マイナー・コード]]
** '''m9''' は、'''m7<sup>9</sup>''' をあらわす。
** '''m11''' は、'''m7<sup>11</sup>''' をあらわす。このとき、長9度のテンションも暗黙的にあらわしていることも多い。
** '''m13''' は、'''m7<sup>13</sup>''' をあらわす。このとき、長9度と完全11度のテンションも暗黙的にあらわしていることも多い。
** '''mmaj9''' は、'''mmaj7<sup>9</sup>''' をあらわす。
** '''mmaj11''' は、'''mmaj7<sup>11</sup>''' をあらわす。このとき、長9度のテンションも暗黙的にあらわしていることも多い。
** '''mmaj13''' は、'''mmaj7<sup>13</sup>''' をあらわす。このとき、長9度と完全11度のテンションも暗黙的にあらわしていることもある。
* [[ドミナント・セブンス・コード]]
** '''9''' は、'''7<sup>9</sup>''' をあらわす。
** '''11''' は、'''7sus4''' をあらわしていると考えられる。このとき、短9度のテンションが明示されていないとき、長9度のテンションも暗黙的にあらわしていることも多い。
** '''13''' は、'''7<sup>13</sup>''' をあらわす。このとき、短9度や増9度のテンションが明示されていないとき、長9度のテンションも暗黙的にあらわしていることも多い。
** '''7alt'''は、短9度、増9度、増11度、短13度のテンションを一括して指定されていると考えられる。ただし、増11度を含まないことがある。
* [[ハーフ・ディミニッシュ・コード]]
** '''m9<sup>(♭5)</sup>''' は、'''m7<sup>(♭5, 9)</sup>''' をあらわす。
** '''m11<sup>(♭5)</sup>''' は、'''m7<sup>(♭5, 11)</sup>''' をあらわす。このとき、長9度のテンションも暗黙的にあらわしていることも多い。
=== ベース音の指定 ===
[[ベース音]]を指定するときは、「/」記号または、「on」に続けてベース音の[[音名]]を記す。
ベース音は[[コード・トーン]]の音だけでなく、それ以外の音が指定されることもある。


== さまざまな表記法 ==
== さまざまな表記法 ==

2025年11月13日 (木) 08:29時点における最新版

コードをあらわす記号をコード・シンボルという。 コード・シンボルは、コードの種類をあらわし、 また、テンションベース音をそれぞれ指定することができる。

即興音楽であるジャズにおいて、コード・シンボルは、ソロコンピングを演奏する上でスケールを特定する手がかりとなる。 よって、こんにちではコード・シンボルはスケール・シンボルとしての役割を持つといえる。

コード・シンボルの構造

コード・シンボルは次の5つの部分で成り立っている。ただし、5つすべてが指定されているケースは極めて稀である。

  1. ルート音名
  2. コードの種類
  3. コード・トーンを変化させる指示
  4. テンション
  5. ベース音

ルートの音名

一般に英音名であらわす。

コードの種類

ジャズでは一般に以下の5つに分類される。 ルートの音名に続くコードの種類をあらわす記号を括弧内に示す。

  1. メジャー・コード
    1. メジャー・セブンス・コードmaj7
    2. シックスス・コード6
  2. マイナー・コード
    1. マイナー・セブンス・コードm7
    2. マイナー・メジャー・セブンス・コードmmaj7
    3. マイナー・シックスス・コードm6
  3. ドミナント・セブンス・コード7
  4. ハーフ・ディミニッシュ・コードm7(♭5)
  5. ディミニッシュ・コードdim7

コード・トーンを変化させる指示

ジャズでは主に以下の2つが使われる。

  • 4度の掛留和音sus4)コード・トーンの長3度を完全4度に変化させる。
  • 増5度((♯5))コード・トーンの完全5度を増5度に変化させる。

テンションの指定

詳細はテンションを参照。

  • 9度のテンション
    • 短9度(♭9)
    • 長9度(9)
    • 増9度(♯9)
  • 11度のテンション
    • 完全11度(11)
    • 増11度(♯11)
  • 13度のテンション
    • 短13度(♭13)
    • 長13度(13)
  • メジャー・コード
    • maj9 は、maj79 をあらわす。
    • maj13 は、maj713 をあらわす。このとき、長9度のテンションも暗黙的にあらわしていることも多い。
  • マイナー・コード
    • m9 は、m79 をあらわす。
    • m11 は、m711 をあらわす。このとき、長9度のテンションも暗黙的にあらわしていることも多い。
    • m13 は、m713 をあらわす。このとき、長9度と完全11度のテンションも暗黙的にあらわしていることも多い。
    • mmaj9 は、mmaj79 をあらわす。
    • mmaj11 は、mmaj711 をあらわす。このとき、長9度のテンションも暗黙的にあらわしていることも多い。
    • mmaj13 は、mmaj713 をあらわす。このとき、長9度と完全11度のテンションも暗黙的にあらわしていることもある。
  • ドミナント・セブンス・コード
    • 9 は、79 をあらわす。
    • 11 は、7sus4 をあらわしていると考えられる。このとき、短9度のテンションが明示されていないとき、長9度のテンションも暗黙的にあらわしていることも多い。
    • 13 は、713 をあらわす。このとき、短9度や増9度のテンションが明示されていないとき、長9度のテンションも暗黙的にあらわしていることも多い。
    • 7altは、短9度、増9度、増11度、短13度のテンションを一括して指定されていると考えられる。ただし、増11度を含まないことがある。
  • ハーフ・ディミニッシュ・コード
    • m9(♭5) は、m7(♭5, 9) をあらわす。
    • m11(♭5) は、m7(♭5, 11) をあらわす。このとき、長9度のテンションも暗黙的にあらわしていることも多い。

ベース音の指定

ベース音を指定するときは、「/」記号または、「on」に続けてベース音の音名を記す。 ベース音はコード・トーンの音だけでなく、それ以外の音が指定されることもある。

さまざまな表記法

コード・シンボルが普及してからまだ歴史が浅いため、正書法というものがなく、表記の統一や標準化がじゅうぶん行われていない。 したがって、書き手や出版社、地域によって表記の仕方にさまざまな違いがある。 以下に、当サイトでの表記と、それ以外のさまざまな表記法についてできるだけまとめた。


maj
MMAmaMAJ
m
MImiMINmin-
m7(♭5)
øø7
dim7
dim○7
数字の前の♭
-
7(♯5)
aug7+77aug7aug57+7+5
7(♯5, 9)
aug9+99+9+5
数字の前の♯
+
(♯5)
augaug5++5
sus4
sus4

また、ビッグ・バンドの譜面では、できるだけ少ない文字数でコードを表記しようとする傾向がみられ、多くの省略記号を用いるだけでなく、C79C9 と書くなど、数字を大きな数字にまとめて表記することが少なくない。 このような数字の省略については次ににまとめた(略記法に続き、当サイトでの記法を掲げた)。 音名、majmなどの直後に67以外の数字が続く場合は、この表にしたがって読み替えるとよいだろう。

4
sus4
9
79
音名あるいはmaj直後11
7sus4
それ以外の11で、かつ7の表記がない場合
7(9, 11)
m13
7(9, 11, 13)
13mがなく、かつ♭9♯9がない場合)
7(9, 13)
13♭9♯9がある場合)
713

以上から、いくつかの表記を当サイトの表記法にすると以下のとおりになる。

  • CM7Cmaj7
  • C-9Cm79
  • Cø9Cm7(♭5, 9)
  • C-7-5Cm7(♭5)
  • C+7C7+C7(♯5)
  • Caug9C9augC9+5C95+C7(♯5, 9)
  • C7-13C7(♭13)
  • Cm11-5Cm7(♭5, 9, 11)
  • Cm13Cm7(9, 11, 13)
  • C13(♭9)C7(♭9, 13)

また、変化音やテンションの表記には、書き手の癖や理解度が反映されがちである。 なかには明らかに不適切な事例や、理解不足に起因する混同も見られる。 どうしても理解できない表記があったら、典型的な混同の例を以下に示すので、 これを参考にして読み替えを検討していただきたい。

変化音 テンション テンション(単音程表記)
♭5 ♯11 ♯4
♯5 ♭13 ♭6