ドミナント・セブンス・コード

提供:コード辞典

ルート、長3度、完全5度、短7度をコード・トーンに持つが、完全5度のコード・トーンは省略されたり変更されたりするケースも少なくない。 その場合であってもドミナント・セブンス・コードの持つ和声的機能にはほとんど影響を及ぼさない。 よって、当サイトではこのようなコードもドミナント・セブンス・コードとして説明する。

コード・シンボルは、ルートの音名7 を付ける。

ドミナント・セブンス・コードに対応するスケールとテンション

ドミナント・セブンス・コードは対応するスケールが最も多く9種類ある(以下の表を参照)。 しかし、これらのスケールのうちスケール名を括弧に入れた3種類はテーマメロディ)において現象としてそのようになっているだけであり、ソロで想定すべきスケールはそれ以外の6種類に絞られる。

グループ スケール名 スケールとテンションアボイド 備考
9、13 ミクソリディアン 1 2(9) 3 4(アボイド) 5 6(13) ♭7
9、13 ミクソリディアン♯4 1 2(9) 3 ♯4(♯11) 5 6(13) ♭7
♭9、♭13 フリジアン♯3 1 ♭2(♭9) 3 4(アボイド) 5 ♭6(♭13) ♭7
♭9、♭13 オルタード♯5 1 $♭2(♭9) ♯2(♯9) 3 5 ♭6(♭$13) ♭7 異名同音に寛容
♭9、♭13 オルタード 1 ♭2(♭9) ♯2(♯9) 3 ♯11(♯11) ♭6(♭13) ♭7 5度省略、異名同音に寛容
9、♭13 エオリアン♯3 1 2(9) 3 4(アボイド) 5 ♭6(♭13) ♭7
9、♭13/♯5 ホール・トーン 1 2(9) 3 ♯4(♯11) ♯5 ♭7 増5度、異名同音に寛容
♭9、13 ミクソリディアン♭2 1 ♭2(♭9) 3 4(アボイド) 5 6(13) ♭7
♭9、13 半音-全音ディミニッシュ 1 ♭2(♭9) ♯2(♯9) 3 ♯4(♯4) 5 6(13) ♭7 異名同音に寛容

また、ミクソリディアンとミクソリディアン♯11、それにフリジアン♯3とオルタード・♯5・スケールとオルタード・スケールはサウンドや使われる場面がよく似ている。 それぞれ共通のテンション、すなわち、9と13、♭9と♭13を持つ。 したがって、これらのスケールを9度と13度のテンションの組み合わせで覚えるとよいだろう。

ドミナント・セブンス・コードの主な和声的機能

ドミナント・セブンス・コードには、ドミナント機能を持つものと持たないものがある。

ドミナント機能を持つドミナント・セブンス・コード

ドミナント機能には、狭義のドミナント(プライマリ・ドミナント)、セカンダリ・ドミナントエクステンデッド・ドミナントがある。 また、セカンダリ・ドミナントのひとつにダブル・ドミナントがあり、これはエクステンデッド・ドミナントの一環をなしている場合がある。

これらのドミナント機能を持つドミナント・セブンスのトライトーン代理も同様のドミナント機能を持つ。

以上のドミナント・セブンス・コードは関係コードとして、5度上をルートとするマイナー・セブンス・コードまたはハーフ・ディミニッシュ・コードが先行することがある。

ドミナント機能を持つ主なドミナント・セブンス・コードと対応するスケールは次の通り。

V7
ドミナント(プライマリ・ドミナント)。メジャー・キーではミクソリディアンミクソリディアン♭2マイナー・キーではフリジアン♯3(まれにエオリアン♯3)を原則とする。また、ホール・トーン・スケールオルタード・スケール半音-全音ディミニッシュ・スケールとなる場合もある。
♭II7
ドミナント V7 のトライトーン代理。一般に、リディアン♯4となる。
II7
ダブル・ドミナント。メジャー・キーでは原則ミクソリディアンまたはミクソリディアン♯4、マイナー・キーではフリジアン♯3かオルタード・スケールが対応する。しかし、メジャー・キーにおいてもブルージーなサウンドに対してはオルタード・スケールが対応するケースがある。
♭VI7
ダブル・ドミナント II7 のトライトーン代理で、特にマイナー・キーで好まれる傾向にある。どちらのキーにおいても原則としてミクソリディアン♯4。

ドミナント機能を持たないドミナント・セブンス・コード

ドミナント・セブンス・コードのなかには、ドミナント機能を持たないものもある。 ドミナント機能を持たないドミナント・セブンス・コードは、何らかのコードの代理コードであることが多い。

このようなドミナント・セブンス・コードの主な和声的機能と対応するスケールは次の通り。

♭VII7
サブドミナント・マイナー IVm 代理。マイナー・キーの場合ミクソリディアンメジャー・キーの場合はミクソリディアン♯4を原則とする。
IV7
マイナー・キーにおけるトニック・マイナー Im 代理で、ミクソリディアン♯4、またはミクソリディアンとなる。
VII7
主にメジャー・キーにおいてトニック・ディミニッシュ 'Idim7 代理である場合が多い。このとき半音-全音ディミニッシュ・スケールとなる。
あるいは、メジャー・キーにおいて、ドミナント V7 代理である場合もある。
III7
メジャー・キーにおけるドミナント V7 代理である場合がある。

なお、ドミナント代理の VII7III7 がドミナント機能を持つか否かは意見が分かれるところだろう。

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