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しかし、メロディや曲想によってはいずれのコードに決めることができないこともある。
しかし、メロディや曲想によってはいずれのコードに決めることができないこともある。
当サイトでは、'''Im7'''、'''Im6'''、'''Immaj7''' を総称して '''Im''' と記す。
当サイトでは、'''Im7'''、'''Im6'''、'''Immaj7''' を総称して '''Im''' と記す。
== メジャー・キーのIm ==
[[同主調]]の[[トニック・マイナー]]。
一時的な[[転調か]]、[[ピボット]]として機能しているケースが多い。
いずれも[[#マイナー・キーのトニック・マイナーIm|マイナー・キーの場合]]に準じる。
[[メジャー・キー]]におけるトニック・マイナーには次のようなケースがある。
* ''How High The Moon''(Morgan Lewis)の3小節目(短7度下のメジャー・キーの'''[[IIm7]]'''とのピボット。このようなとき、コードは '''[[Im7]]''' となりスケールも[[ドリアン]]になることが多い。
* ''Tenderly''(Walter Gross)の3小節目(一時的な同主調への転調)。
== マイナー・キーのトニック・マイナーIm ==
[[トニック・マイナー]]とその[[代理コード]]の[[スケール]]は、それぞれその[[キー]]の[[ナチュラル・マイナー・スケール]]か[[メロディック・マイナー]]、あるいは[[マイナー・スケール]]としての[[ドリアン]]が想定される。
したがって、'''Im''' に対応するスケールは、[[エオリアン]](ナチュラル・マイナー・スケールの第1モード)、[[アイオニアン♭3]](メロディック・マイナー・スケールの第1モード)、ドリアンのいずれかである。
エオリアンの短6度は[[アボイド]]である。
'''[[Im6]]''' と '''[[Immaj7]]''' は実質的に同じコードとみなされる。
これらにはアイオニアン♭6が対応すると考えてよい。
ただし、まれに '''Im6''' にドリアンが対応することもある。
また、'''[[Im7]]''' に対応するスケールははエオリアンかドリアンである。
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== トニック・マイナーの和声的機能 ==
トニック・マイナーは、[[マイナー・キー]]の主要な3つのコードのひとつで、その[[和声的機能]]はいわばそのキーの「ホーム」である。
したがって、トニック・マイナーがマイナー・キーの曲の主要な部分を占める。
よって、マイナー・キーの多くの曲はトニック・マイナーで始まり、またトニック・マイナーで終わる曲も多い。
ただし、大半のマイナー・キーの曲が[[平行調]]に一時的に[[転調]]するので、平行調の[[トニック・メジャー]]で始まったり終わったりする曲も少なくない。
トニック・マイナーは、[[ドミナント]] '''[[V7]]''' とその[[トライトーン代理]] '''[[♭II7]]'''や、[[サブドミナント・マイナー]] '''[[IVm7]]''' やその代理コードから進行することが多い。
また、トニック・マイナーはあらゆるコードに進行することができるとされる。
== メロディック・マイナー・スケールとトニック・マイナーおよびその代理コード ==
トニック・マイナーのうち、'''Im6''' や '''Immaj7''' に対応する[[スケール]]は、[[アイオニアン♭3]]であり、これはその[[キー]]に対応する[[メロディック・マイナー・スケール]]の第1[[モード]](それ自身)である。
加えて、メロディック・マイナー・スケールの[[ダイアトニック・コード]]のうち、'''[[IV7]]''' と [[VIm7(♭5)|'''VIm7<sup>(♭5)</sup>''']] がトニック・マイナーの[[代理コード]]である。
これらに対応するスケールは[[ミクソリディアン♯4]]と[[ロクリアン♯2]]で、それぞれメロディック・マイナー・スケールの第4モード、第6モードである。
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=== トニック・マイナー代理 '''VIm7<sup>(♭5)</sup>'''  ===
多くの場合、マイナー・キーにおける「イチ・ロク・ニ・ゴ」の「ロク」は、[[VIm7(♭5)|'''VIm7<sup>(♭5)</sup>''']] である。
これはトニック・マイナー代理であり、対応するスケールは[[メロディック・マイナー・スケール]]の第6[[モード]]の[[ロクリアン♯2]]である。
=== トニック・マイナー代理 '''IV7''' ===
'''[[IV7]]''' にはいくつかの[[和声的機能]]があるが、[[マイナー・キー]]では[[トニック・マイナー]][[代理コード|代理]]であることが多い。
曲中では[[Immaj7-IV7|'''Immaj7'''-'''IV7''']]、[[Im6-IV7|'''Im6'''-'''IV7''']]のほか、[[Im7-IV7|'''Im7'''-'''IV7''']] のような形で使われることがある。
これらのうち特に '''Im7'''-'''IV7''' は、広義の「[[トゥ・ファイブ]]」に見えるけれども、実際には全体として[[トニック・マイナー]]であり、'''[[IV7]]'''にはドミナント機能はないか、あったとしてもそれはあくまでも[[ピボット]]だと解釈される状況であることが大きい。
したがって、'''Im7'''-'''IV7''' の「本家」はあくまでも '''[[Im7]]''' 側であり、'''IV7''' のほうが「分家」であるということをきちんと認識することが必要であろう。
すなわち、'''IV7''' は '''Im7''' の[[関係コード]]と考えることができるのである。
'''Immaj7'''-'''IV7''' や '''Im6'''-'''IV7''' の場合も同じことがいえる。
対応するスケールは、@sansserif{Immaj7}や@sansserif{Im6}に後置されたり、これらを置き換えたりする '''IV7''' は
[[ミクソリディアン♯4]]であるケースが多い。
しかし、'''Im7''' に近接したりそれを置き換えたりしている場合には[[ミクソリディアン]]となるケースがある。
このようなとき、'''Im7''' は[[ドリアン]]が対応することが多い([[#ドリアンとトニック・マイナーおよびその代理コード]]も参照)。
== ナチュラル・マイナー・スケールとトニック・マイナーおよびその代理コード ==
[[トニック・マイナー]]のうち、'''[[Im7]]''' に対応する[[スケール]]は、原則として[[エオリアン]]で、これはナチュラル・マイナー・スケールの第1モード、すなわちそれ自身である。
加えて、ナチュラル・マイナー・スケールの[[ダイアトニック・コード]]のうち、'''[[♭VImaj7]]''' がトニック・マイナーの[[代理コード]]である。
対応するスケールは[[リディアン]]で、これはナチュラル・マイナー・スケールの第6モードである。
[[File:Im7と代理コード(エオリアン).png|500px]]
== ドリアンとトニック・マイナーおよびその代理コード ==
[[トニック・マイナ]]ーのうち、'''[[Im7]]''' に対応する[[スケール]]は、原則として[[エオリアン]]だが、[[ドリアン]]のこともある。
[['''Im7''']] に対してトニック・マイナー[[代理コード代理]] '''[[VI7]]''' が後置されるとき、'''Im7''' はドリアン、'''IV7''' は[[ミクソリディアン]]となることが多い。
同じ[[和声的機能]]を持つ一連のコードに対して、共通のスケールを想定するほうが自然だからであろう。
なお、このとき '''[[IV]]'' は、[[ピボット]]として機能し、長2度下の[[メジャー・キー]]に転調することが多い。
[[File:Im7と代理コード(ドリアン).png|500px]]


[[Category:コード辞典]]
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2024年9月23日 (月) 09:07時点における版

トニック・マイナーマイナー・キーにおける最も重要な和声的機能の1つ。

トニック・マイナーは、メロディや曲想によって Im7Im6Immaj7 のいずれかとなる。 また、前後のコード進行によって使われるコードや対応するスケールが決定することもある。

しかし、メロディや曲想によってはいずれのコードに決めることができないこともある。 当サイトでは、Im7Im6Immaj7 を総称して Im と記す。

メジャー・キーのIm

同主調トニック・マイナー。 一時的な転調かピボットとして機能しているケースが多い。

いずれもマイナー・キーの場合に準じる。

メジャー・キーにおけるトニック・マイナーには次のようなケースがある。

  • How High The Moon(Morgan Lewis)の3小節目(短7度下のメジャー・キーのIIm7とのピボット。このようなとき、コードは Im7 となりスケールもドリアンになることが多い。
  • Tenderly(Walter Gross)の3小節目(一時的な同主調への転調)。

マイナー・キーのトニック・マイナーIm

トニック・マイナーとその代理コードスケールは、それぞれそのキーナチュラル・マイナー・スケールメロディック・マイナー、あるいはマイナー・スケールとしてのドリアンが想定される。

したがって、Im に対応するスケールは、エオリアン(ナチュラル・マイナー・スケールの第1モード)、アイオニアン♭3(メロディック・マイナー・スケールの第1モード)、ドリアンのいずれかである。

エオリアンの短6度はアボイドである。

Im6Immaj7 は実質的に同じコードとみなされる。 これらにはアイオニアン♭6が対応すると考えてよい。 ただし、まれに Im6 にドリアンが対応することもある。

また、Im7 に対応するスケールははエオリアンかドリアンである。

トニック・マイナーの和声的機能

トニック・マイナーは、マイナー・キーの主要な3つのコードのひとつで、その和声的機能はいわばそのキーの「ホーム」である。 したがって、トニック・マイナーがマイナー・キーの曲の主要な部分を占める。 よって、マイナー・キーの多くの曲はトニック・マイナーで始まり、またトニック・マイナーで終わる曲も多い。 ただし、大半のマイナー・キーの曲が平行調に一時的に転調するので、平行調のトニック・メジャーで始まったり終わったりする曲も少なくない。

トニック・マイナーは、ドミナント V7 とそのトライトーン代理 ♭II7や、サブドミナント・マイナー IVm7 やその代理コードから進行することが多い。

また、トニック・マイナーはあらゆるコードに進行することができるとされる。

メロディック・マイナー・スケールとトニック・マイナーおよびその代理コード

トニック・マイナーのうち、Im6Immaj7 に対応するスケールは、アイオニアン♭3であり、これはそのキーに対応するメロディック・マイナー・スケールの第1モード(それ自身)である。

加えて、メロディック・マイナー・スケールのダイアトニック・コードのうち、IV7VIm7(♭5) がトニック・マイナーの代理コードである。 これらに対応するスケールはミクソリディアン♯4ロクリアン♯2で、それぞれメロディック・マイナー・スケールの第4モード、第6モードである。

[[File:Im6と代理コード.png|500px]==

トニック・マイナー代理 VIm7(♭5) 

多くの場合、マイナー・キーにおける「イチ・ロク・ニ・ゴ」の「ロク」は、VIm7(♭5) である。 これはトニック・マイナー代理であり、対応するスケールはメロディック・マイナー・スケールの第6モードロクリアン♯2である。

トニック・マイナー代理 IV7

IV7 にはいくつかの和声的機能があるが、マイナー・キーではトニック・マイナー代理であることが多い。

曲中ではImmaj7-IV7Im6-IV7のほか、Im7-IV7 のような形で使われることがある。 これらのうち特に Im7-IV7 は、広義の「トゥ・ファイブ」に見えるけれども、実際には全体としてトニック・マイナーであり、IV7にはドミナント機能はないか、あったとしてもそれはあくまでもピボットだと解釈される状況であることが大きい。 したがって、Im7-IV7 の「本家」はあくまでも Im7 側であり、IV7 のほうが「分家」であるということをきちんと認識することが必要であろう。 すなわち、IV7Im7関係コードと考えることができるのである。 Immaj7-IV7Im6-IV7 の場合も同じことがいえる。

対応するスケールは、@sansserif{Immaj7}や@sansserif{Im6}に後置されたり、これらを置き換えたりする IV7ミクソリディアン♯4であるケースが多い。 しかし、Im7 に近接したりそれを置き換えたりしている場合にはミクソリディアンとなるケースがある。 このようなとき、Im7ドリアンが対応することが多い(#ドリアンとトニック・マイナーおよびその代理コードも参照)。

ナチュラル・マイナー・スケールとトニック・マイナーおよびその代理コード

トニック・マイナーのうち、Im7 に対応するスケールは、原則としてエオリアンで、これはナチュラル・マイナー・スケールの第1モード、すなわちそれ自身である。

加えて、ナチュラル・マイナー・スケールのダイアトニック・コードのうち、♭VImaj7 がトニック・マイナーの代理コードである。 対応するスケールはリディアンで、これはナチュラル・マイナー・スケールの第6モードである。

ドリアンとトニック・マイナーおよびその代理コード

トニック・マイナーのうち、Im7 に対応するスケールは、原則としてエオリアンだが、ドリアンのこともある。

'''Im7''' に対してトニック・マイナー代理コード代理 VI7 が後置されるとき、Im7 はドリアン、IV7ミクソリディアンとなることが多い。 同じ和声的機能を持つ一連のコードに対して、共通のスケールを想定するほうが自然だからであろう。

なお、このとき 'IV は、ピボットとして機能し、長2度下のメジャー・キーに転調することが多い。