分数コード
G7/F のように、数学の分数のように記述されるコード。 スラッシュ・コードまたはオン・コードともいう。
分数コードに、ベース音を明示する場合と、アッパー・ストラクチャー・トライアドを明示する場合に使われる
ベース音を明示する分数コード
分数コードのほとんどはベース音を明示するために使われる。
一般にコードのベース音は、そのコードのルートである。 ところが、ルート以外の音をベース音に指定する必要がある場合がある。 このとき G7/F のように分数コードでルート音を明示する。 この場合、コードが G7 であるが、ベース音が F であることをあらわす。 これは、数学の分数のように2階建てで記すこともできれば、G7on F のように記されることもある。
アッパー・ストラクチャー・トライアドをあらわす分数コード
まれに分数コードがアッパー・ストラクチャー・トライアドをあらわすことがある。
アッパー・ストラクチャー・トライアドとは、コード・トーンまたはテンションで構成されるトライアド(一般にはメジャー・トライアドまたはマイナー・トライアドのいずれか)をいう。 トライアドは、強固な構造を持っているが、これが基本的なコードに対して高音域で演奏されることにより独特の演奏効果が得られるので、ピアニストやギタリスト、あるいはアレンジャーによって多用されるほか、ソロを組み立てる上で応用されることがある。
例えば、メジャー・キーにおける V7 はしばしば短9度と長13度のテンションの組み合わせが好まれる。 このとき、短9度の異名同音である増8度(階名「ソ♯」)と長13度(階名「ミ」)、それにコード・トーンの3度(階名「シ」)によるメジャー・トライアドが、コードの高音域として演奏されることがある。 特に、この3つの音のうちいずれかがトップ・ノートであるときこの傾向が強い。
このとき、V7 に III(階名「ミ」)をルートとするメジャー・トライアドが響いていることになる。 これを分数コードを使って III/V7(Cメジャー・キーの場合 E/G7)と表記されることがある。 このとき、分母に基本的なコードを、分子にアッパー・ストラクチャー・トライアドを記す。