II7-♯IIdim7 vs ♯IVm7(♭5)-VII7

提供:コード辞典

以下のような、メジャー・キーの曲でしばしば解釈が分かれるコード進行

  • On Green Dolphin Street(Bronislaw Kaper)の28小節目
  • There Will Never Be Another You(Harry Warren)28小節目

いずれもトニック・メジャーまたはその代理コードに進行する。 特に II7-♯IIdiim7 は、I/III あるいは IIIm7 に進行することで、ベース音半音上行を実現している。

和声的機能と対応するスケールは次のとおりだろう。

II7
ダブル・ドミナントミクソリディアンまたはミクソリディアン♯4
♯IIdim7
トニック・ディミニッシュディミニッシュ・スケール
♯IVm7(♭5)
トニック・ディミニッシュ代理 VII7 に先行する関係コードロクリアンまたはロクリアン♯2
VII7
トニック・ディミニッシュ代理(半音-全音ディミニッシュ・スケール

以上から、II7♯IVm7(♭5)♯IIdim7VII7 の間で、それぞれスケールが共通している。

よって、演奏メンバーの間で解釈が分かれたとしてもサウンドが衝突するようなことはほとんどない。

なお、ダブル・ドミナント II7 の主要な進行先にベース音ドミナントトニック・メジャー I/V がある。 II7-♯IIdim7-IIIm7III/I)は、II7-I/Vの変形と考えることもできる。 すなわち、II7-I/Vの間に ♯IIdim7 を挿入し、さらに I/V のベース音を変更したものと解釈することができると私は考えている。

例えば、There Will Never Be Another You(Harry Warren)の28-29小節目前半をこのように考えることが可能であろう(実際にそのように演奏している録音がある)。