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ただし、まれに[[リディアン]]となる場合もある。 | ただし、まれに[[リディアン]]となる場合もある。 | ||
また、メロディや曲想が[[ブルージー]]なとき、'''Imaj7''' に代えて ブルージーなトニック・メジャーとしての '''[[I7]]''' が使われることもある。 | |||
トニック・メジャー '''Imaj7''' は、基本的にいかなるコードに進行することもできるとされる。 | トニック・メジャー '''Imaj7''' は、基本的にいかなるコードに進行することもできるとされる。 | ||
また、このコードは、[[ドミナント]] '''[[V7]]''' とその[[トライトーン代理]] '''[[♭II7]]'''、[[サブドミナント・メジャー] '''[[IVmaj7]]'''、メジャー・キーの[[サブドミナント・マイナー]] '''[[IVmmaj7]]''' とその[[代理コード]] '''[[♭VII7]]'''、[[トニック・ディミニッシュ]] '''[[Idim7]]''' とその代理コード '''[[VII7]]''' から進行することが多い。 | また、このコードは、[[ドミナント]] '''[[V7]]''' とその[[トライトーン代理]] '''[[♭II7]]'''、[[サブドミナント・メジャー]] '''[[IVmaj7]]'''、メジャー・キーの[[サブドミナント・マイナー]] '''[[IVmmaj7]]''' とその[[代理コード]] '''[[♭VII7]]'''、[[トニック・ディミニッシュ]] '''[[Idim7]]''' とその代理コード '''[[VII7]]''' から進行することが多い。 | ||
トニック・メジャー | トニック・メジャー '''Imaj7''' の代理コードには、'''[[IIIm7]]''' と '''[[VIm7]]''' がある。 | ||
前者は[[フリジアン]](メジャー・スケールの第3モード)、後者は[[エオリアン]] | 前者は[[フリジアン]](メジャー・スケールの第3モード)、後者は[[エオリアン]](メジャー・スケールの第6モード)が対応する。 | ||
これらのコードは、コード・トーンに共通音が多く、また、テンション対応するスケールのアボイドまで観察すると、いかに密接な関係にあるかが理解できるだろう。 | これらのコードは、コード・トーンに共通音が多く、また、テンション対応するスケールのアボイドまで観察すると、いかに密接な関係にあるかが理解できるだろう。 | ||
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* ''Alone Together''(Arthur Schwartz)の13小節目。 | * ''Alone Together''(Arthur Schwartz)の13小節目。 | ||
* ''You And The Night And The Music}(Arthur Schwartz)の7小節目。 | * ''You And The Night And The Music}(Arthur Schwartz)の7小節目。 | ||
== メロディがアボイドやスケール上にない場合の対応 == | |||
[[トニック・メジャー]] '''Imaj7'''('''[[I6]]''' も含む)に対して、[[強拍]]において[[メロディ]]が[[アボイド]]である[[階名]]「ファ」や、スケール上にない音になっている場合がある。 | |||
この場合、ピアニストやギタリスト、あるいはアレンジャーは、[[ベース音]]に[[トニック]](階名「ド」)を指定しつつも、'''Imaj7''' に代えて別の[[コード]]を一時的に置き換えることが多い。 | |||
なお、多くの場合、メロディに対して一時的に置き換えられたコードは、トニック・メジャー '''Imaj7''' に進行するケースがある。 | |||
そして、[[ソロ]]のあいだは、一時的に置き換えたコードは使わずに、一貫して '''Imaj7''' で演奏されることが多い。 | |||
=== 強拍のメロディが階名「ファ」の場合 === | |||
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多くの場合、前半部分が置き換えられて、後半は '''Imaj7'''('''[[I6]]''')になる。 | |||
このような例として次のような曲をあげることができる。 | |||
* ''Be My Love''(Nicholas Brodszky)の1-2小節目のうち1小節目 | |||
* ''I'm Old Fashoned''(Jerome Kern)の5-6小節目のうち5小節目 | |||
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[[強拍]]における[[メロディ]]が[[階名]]「レ♯」のとき、[[トニック・メジャー]] '''Imaj7''' は、一般に[[Idim7]]に置き換えられる。 | |||
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* ''I Love You''(Cole Poter)の3小節目(メロディが階名「ミ」に進行すると同時に '''Imaj7''' に変わる)。 | |||
== トニック・メジャー '''Imaj7''' の代理コードとしての '''Idim7''' == | |||
[[トニック・メジャー]] '''Imaj7'''('''[[I6]]''')の一部、特に前半部分をトニック・ディミニッシュ '''[[Idim7]]''' に置き換えて演奏することがある。 | |||
これは、特に[[メロディ]]が[[階名]]「ラ・シ・ド・レ」のいずれかであるときに行われる。 | |||
このような例として次のような曲をあげることができる。 | |||
* ''I'll Remember April''(Gene de Paul)の1-4小節目のうち3小節目(メロディは階名「レド」) | |||
* ''Misty''(Erroll Garner)の1小節目のうち前半(メロディは階名「シ」) | |||
* ''On A Clear Day''(Burton Lane)25-26小節目のうち25小節目(メロディは階名「レシ」) | |||
* ''Stella By Starlight''(Victor Young)の23-24小節目のうち23小節目(メロディは階名「レ」) | |||
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2024年11月11日 (月) 14:30時点における最新版
I6 とともにナチュラル・メジャー・スケール の1度のダイアトニック・コードである。 対応するスケールは、原則としてアイオニアンだが、まれにリディアンの場合もある。
なお、ハーモニック・メジャー・スケールの1度のダイアトニック・コードを機械的につくってもこのコードができる。 しかし、ハーモニック・メジャー・スケールの第1モードであるアイオニアン♭6は、メジャー・コードに対応する典型的なスケールとはいえない。 私は、ハーモニック・メジャー・スケールの1度のダイアトニック・コードはImaj7(♯5)と考えている。
Imaj7 は I6 とともにトニック・メジャーであり、これはメジャー・キーのもっとも主要な和声的機能である。
Imaj7 と I6 は実質的に同一のコードと考えることができるので、このページでは以下、特に断りがない限り Imaj7 と書いた場合 I6 を含むものとする。
なお、メロディがコードのルート(すなわち階名「ド」)のとき、一般に、Imaj7 の代わりに I6 が使われる。 コード・トーンの長7度との間に短9度音程ができることを避けるためである。
長2度と長13度の音はテンションとして使うことができる。 また、完全4度の音はアボイドである。
メジャー・キーのトニック・メジャー Imaj7
メジャー・キーの大半の曲はトニック・メジャー Imaj7 で終わる。 また、多くの曲は Imaj7 で始まるほか、曲の主要な部分(各セクションの始めや終わりの部分など)が Imaj7 である。
Imaj7 はナチュラル・メジャー・スケールの1度のダイアトニック・コードであり、対応するスケールは原則としてアイオニアン(ナチュラル・メジャー・スケールの第1モード)である。 ただし、まれにリディアンとなる場合もある。
また、メロディや曲想がブルージーなとき、Imaj7 に代えて ブルージーなトニック・メジャーとしての I7 が使われることもある。
トニック・メジャー Imaj7 は、基本的にいかなるコードに進行することもできるとされる。 また、このコードは、ドミナント V7 とそのトライトーン代理 ♭II7、サブドミナント・メジャー IVmaj7、メジャー・キーのサブドミナント・マイナー IVmmaj7 とその代理コード ♭VII7、トニック・ディミニッシュ Idim7 とその代理コード VII7 から進行することが多い。
トニック・メジャー Imaj7 の代理コードには、IIIm7 と VIm7 がある。 前者はフリジアン(メジャー・スケールの第3モード)、後者はエオリアン(メジャー・スケールの第6モード)が対応する。 これらのコードは、コード・トーンに共通音が多く、また、テンション対応するスケールのアボイドまで観察すると、いかに密接な関係にあるかが理解できるだろう。
マイナー・キーの Imaj7
同主調のトニック・メジャーである。 同主調への一時的な転調であることが多い。 和声的機能や対応するスケールはメジャー・キーの Imaj7に準じる。
マイナー・キーの Imaj7 には次のような例がある。
- Alone Together(Arthur Schwartz)の13小節目。
- You And The Night And The Music}(Arthur Schwartz)の7小節目。
メロディがアボイドやスケール上にない場合の対応
トニック・メジャー Imaj7(I6 も含む)に対して、強拍においてメロディがアボイドである階名「ファ」や、スケール上にない音になっている場合がある。
この場合、ピアニストやギタリスト、あるいはアレンジャーは、ベース音にトニック(階名「ド」)を指定しつつも、Imaj7 に代えて別のコードを一時的に置き換えることが多い。
なお、多くの場合、メロディに対して一時的に置き換えられたコードは、トニック・メジャー Imaj7 に進行するケースがある。 そして、ソロのあいだは、一時的に置き換えたコードは使わずに、一貫して Imaj7 で演奏されることが多い。
強拍のメロディが階名「ファ」の場合
強拍におけるメロディが階名「ファ」のとき、トニック・メジャー Imaj7 は、一般にVImaj7/I、VIm6/I、VIdim7/Iなどに置き換えられる。 多くの場合、前半部分が置き換えられて、後半は Imaj7(I6)になる。
このような例として次のような曲をあげることができる。
- Be My Love(Nicholas Brodszky)の1-2小節目のうち1小節目
- I'm Old Fashoned(Jerome Kern)の5-6小節目のうち5小節目
強拍のメロディが階名「レ♯」の場合
強拍におけるメロディが階名「レ♯」のとき、トニック・メジャー Imaj7 は、一般にIdim7に置き換えられる。 多くの場合、前半部分が置き換えられて、後半は Imaj7(I6)になる。
このような例として次のような曲をあげることができる。
- I Love You(Cole Poter)の3小節目(メロディが階名「ミ」に進行すると同時に Imaj7 に変わる)。
トニック・メジャー Imaj7 の代理コードとしての Idim7
トニック・メジャー Imaj7(I6)の一部、特に前半部分をトニック・ディミニッシュ Idim7 に置き換えて演奏することがある。
これは、特にメロディが階名「ラ・シ・ド・レ」のいずれかであるときに行われる。
このような例として次のような曲をあげることができる。
- I'll Remember April(Gene de Paul)の1-4小節目のうち3小節目(メロディは階名「レド」)
- Misty(Erroll Garner)の1小節目のうち前半(メロディは階名「シ」)
- On A Clear Day(Burton Lane)25-26小節目のうち25小節目(メロディは階名「レシ」)
- Stella By Starlight(Victor Young)の23-24小節目のうち23小節目(メロディは階名「レ」)