Imaj7

提供:コード辞典

I6 とともにナチュラル・メジャー・スケール の1度のダイアトニック・コードである。 対応するスケールは、原則としてアイオニアンだが、まれにリディアンの場合もある。

なお、ハーモニック・メジャー・スケールの1度のダイアトニック・コードを機械的につくってもこのコードができる。 しかし、ハーモニック・メジャー・スケールの第1モードであるアイオニアン♭6は、メジャー・コードに対応する典型的なスケールとはいえない。 私は、ハーモニック・メジャー・スケールの1度のダイアトニック・コードはImaj7(♯5)と考えている。

Imaj7I6 とともにトニック・メジャーであり、これはメジャー・キーのもっとも主要な和声的機能である。

Imaj7 I6 は実質的に同一のコードと考えることができるので、このページでは以下、特に断りがない限り Imaj7 と書いた場合 I6 を含むものとする。

なお、メロディコードルート(すなわち階名「ド」)のとき、一般に、Imaj7 の代わりに I6 が使われる。 コード・トーンの長7度との間に短9度音程ができることを避けるためである。

長2度と長13度の音はテンションとして使うことができる。 また、完全4度の音はアボイドである。

メジャー・キーのトニック・メジャー Imaj7

メジャー・キーの大半の曲はトニック・メジャー Imaj7 で終わる。 また、多くの曲は Imaj7 で始まるほか、曲の主要な部分(各セクションの始めや終わりの部分など)が Imaj7 である。

Imaj7ナチュラル・メジャー・スケールの1度のダイアトニック・コードであり、対応するスケールは原則としてアイオニアン(ナチュラル・メジャー・スケールの第1モード)である。 ただし、まれにリディアンとなる場合もある。

また、メロディや曲想がブルージーなとき、Imaj7 に代えて ブルージーなトニック・メジャーとしての I7 が使われることもある。

トニック・メジャー Imaj7 は、基本的にいかなるコードに進行することもできるとされる。 また、このコードは、ドミナント V7 とそのトライトーン代理 ♭II7サブドミナント・メジャー IVmaj7、メジャー・キーのサブドミナント・マイナー IVmmaj7 とその代理コード ♭VII7トニック・ディミニッシュ Idim7 とその代理コード VII7 から進行することが多い。

トニック・メジャー Imaj7 の代理コードには、IIIm7VIm7 がある。 前者はフリジアン(メジャー・スケールの第3モード)、後者はエオリアン(メジャー・スケールの第6モード)が対応する。 これらのコードは、コード・トーンに共通音が多く、また、テンション対応するスケールのアボイドまで観察すると、いかに密接な関係にあるかが理解できるだろう。

マイナー・キーの Imaj7

同主調トニック・メジャーである。 同主調への一時的な転調であることが多い。 和声的機能や対応するスケールはメジャー・キーの Imaj7に準じる。

マイナー・キーの Imaj7 には次のような例がある。

  • Alone Together(Arthur Schwartz)の13小節目。
  • You And The Night And The Music}(Arthur Schwartz)の7小節目。

メロディがアボイドやスケール上にない場合の対応

トニック・メジャー Imaj7I6 も含む)に対して、強拍においてメロディアボイドである階名「ファ」や、スケール上にない音になっている場合がある。

この場合、ピアニストやギタリスト、あるいはアレンジャーは、ベース音トニック(階名「ド」)を指定しつつも、Imaj7 に代えて別のコードを一時的に置き換えることが多い。

なお、多くの場合、メロディに対して一時的に置き換えられたコードは、トニック・メジャー Imaj7 に進行するケースがある。 そして、ソロのあいだは、一時的に置き換えたコードは使わずに、一貫して Imaj7 で演奏されることが多い。

強拍のメロディが階名「ファ」の場合

強拍におけるメロディ階名「ファ」のとき、トニック・メジャー Imaj7 は、一般にVImaj7/IVIm6/IVIdim7/Iなどに置き換えられる。 多くの場合、前半部分が置き換えられて、後半は Imaj7I6)になる。

このような例として次のような曲をあげることができる。

  • Be My Love(Nicholas Brodszky)の1-2小節目のうち1小節目
  • I'm Old Fashoned(Jerome Kern)の5-6小節目のうち5小節目

強拍のメロディが階名「レ♯」の場合

強拍におけるメロディ階名「レ♯」のとき、トニック・メジャー Imaj7 は、一般にIdim7に置き換えられる。 多くの場合、前半部分が置き換えられて、後半は Imaj7I6)になる。

このような例として次のような曲をあげることができる。

  • I Love You(Cole Poter)の3小節目(メロディが階名「ミ」に進行すると同時に Imaj7 に変わる)。

トニック・メジャー Imaj7 の代理コードとしての Idim7

トニック・メジャー Imaj7I6)の一部、特に前半部分をトニック・ディミニッシュ Idim7 に置き換えて演奏することがある。

これは、特にメロディ階名「ラ・シ・ド・レ」のいずれかであるときに行われる。

このような例として次のような曲をあげることができる。

  • I'll Remember April(Gene de Paul)の1-4小節目のうち3小節目(メロディは階名「レド」)
  • Misty(Erroll Garner)の1小節目のうち前半(メロディは階名「シ」)
  • On A Clear Day(Burton Lane)25-26小節目のうち25小節目(メロディは階名「レシ」)
  • Stella By Starlight(Victor Young)の23-24小節目のうち23小節目(メロディは階名「レ」)