「IIm7(♭5)-V7」の版間の差分
Naoki Yoshioka (トーク | 投稿記録) ページの作成:「'''IIm7<sup>(♭5)</sup>'''-'''V7''' は、いわゆるマイナー・キーの「トゥ・ファイブ」として知られているが、実はメジャー・キーでもしばしば使われる。 メジャー・キーとマイナー・キーのどちらであっても、ドミナント '''V7''' と、それに先行する関係コード'''IIm7<sup>(♭5)</sup>''' であり、全体としてドミナントの和声的機…」 |
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: この文脈では[[ハーモニック・メジャー・スケール]]の5度のダイアトニック・コードであろう。和声的機能はドミナント。対応するスケールは、[[ハーモニック・マイナー・スケール]]の第5モードである[[ミクソリディアン♭2]]であるケースは少なくとも[[テーマ]]のときのみで、[[ソロ]]のときにはオルタード・スケール、半音-全音ディミニッシュ・スケール、フリジアン♯3のことが多い。 | : この文脈では[[ハーモニック・メジャー・スケール]]の5度のダイアトニック・コードであろう。和声的機能はドミナント。対応するスケールは、[[ハーモニック・マイナー・スケール]]の第5モードである[[ミクソリディアン♭2]]であるケースは少なくとも[[テーマ]]のときのみで、[[ソロ]]のときにはオルタード・スケール、半音-全音ディミニッシュ・スケール、フリジアン♯3のことが多い。 | ||
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2024年10月29日 (火) 19:10時点における最新版
IIm7(♭5)-V7 は、いわゆるマイナー・キーの「トゥ・ファイブ」として知られているが、実はメジャー・キーでもしばしば使われる。
メジャー・キーとマイナー・キーのどちらであっても、ドミナント V7 と、それに先行する関係コードIIm7(♭5) であり、全体としてドミナントの和声的機能を持つと考えることができる。
この文脈における V7 は、原則として短9度のテンションを伴う。
マイナー・キーの IIm7(♭5)-V7
- IIm7(♭5)
- ナチュラル・マイナー・スケールの2度のダイアトニック・コードで、ドミナント V7 に先行する関係コード(場合によってはサブドミナント・マイナー代理と考えてもよい)。対応するスケールは、ナチュラル・マイナー・スケールの第2モードであるロクリアン。
- V7
- ハーモニック・マイナー・スケールの5度のダイアトニック・コードで、和声的機能はドミナント。対応するスケールは、原則としてハーモニック・マイナー・スケールの第5モードであるフリジアン♯3であるが、オルタード・スケールや半音-全音ディミニッシュ・スケールであることもある。
いずれも、マイナー・スケールのダイアトニック・コードで、マイナー・キーの「トゥ・ファイブ」は原則として上のようになる(ただし例外的に IIm7-V7 の場合もある)。
メジャー・キーの IIm7(♭5)-V7
- IIm7(♭5)
- メロディック・メジャー・スケールの2度のダイアトニック・コードで、ドミナント V7 に先行する関係コード。サブドミナント・マイナーの代理コードを兼ねていると考えてもよい。対応するスケールは、メロディック・メジャー・スケールの第2モードであるロクリアン♯2。
- V7
- この文脈ではハーモニック・メジャー・スケールの5度のダイアトニック・コードであろう。和声的機能はドミナント。対応するスケールは、ハーモニック・マイナー・スケールの第5モードであるミクソリディアン♭2であるケースは少なくともテーマのときのみで、ソロのときにはオルタード・スケール、半音-全音ディミニッシュ・スケール、フリジアン♯3のことが多い。
メジャー・キーの「トゥ・ファイブ」は、IIm7-V7 が圧倒的に多い。 ところが、IIm7(♭5)-V7 であるケースも決して例外的とまではいえない。
- Confirmation(Charlie Parker)の24小節目
- I Love You(Cole Poter)の1-2小節目
私の考えでは、メジャー・キーにおける IIm7(♭5) も、メジャー・スケールの一種であるメロディック・メジャー・スケールのダイアトニックである。
IIm7(♭5) に対応するスケールがロクリアン♯2となるのは、このスケールが、メロディック・メジャー・スケールの第2モードであるからだ。 IIm7(♭5) をマイナー・キーの借用和音だという理解では、このコードがロクリアン♯2に対応するということを見落としてしまうだろう。
ただし、メジャー・キーにおける IIm7(♭5)-V7 の IIm7(♭5) が例外的にロクリアンに対応する場合がある。 それは、それまで同主調の文脈でコードが進行していたものが、トニック・メジャー Imaj7(I6)でメジャー・キーであることが明かされる場合である(単に転調すると考えてもよいのだが)。
例えば Alone Together(Arthur Schwaltz)の12小節目、What Is This Thing Called Love?(Cole Poter)の5-6小節目のような場合である。
しかし、このような場合であってもロクリアン♯2で演奏することはできる。