「IIIm7」の版間の差分

提供:コード辞典
ページの作成:「ナチュラル・メジャー・スケールの3度のダイアトニック・コードである。 対応するスケールは、原則として、ナチュラル・メジャー・スケールの第3モードであるフリジアンであるが、状況によってはドリアンのこともある。 また、このコードは主にメジャー・キーで使われ、その和声的機能は主にトニック・メジャー代理コ…」
 
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一番の相違点は、[[メロディ]]([[トップ・ノート]])に、階名「ド」を受け入れることができるかである。
一番の相違点は、[[メロディ]]([[トップ・ノート]])に、階名「ド」を受け入れることができるかである。


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よって、[[ストレート・メロディ]]の[[強拍]]などに、階名「ド」が含まれていれば、たとえ[[コード・シンボル]]として '''IIIm7''' が書かれていても、気の利くピアニストやギタリストであれば '''III/I''' に読み替えて演奏する。
よって、[[ストレート・メロディ]]の[[強拍]]などに、階名「ド」が含まれていれば、たとえ[[コード・シンボル]]として '''IIIm7''' が書かれていても、気の利くピアニストやギタリストであれば '''III/I''' に読み替えて演奏する。

2024年9月30日 (月) 08:47時点における版

ナチュラル・メジャー・スケールの3度のダイアトニック・コードである。 対応するスケールは、原則として、ナチュラル・メジャー・スケールの第3モードであるフリジアンであるが、状況によってはドリアンのこともある。 また、このコードは主にメジャー・キーで使われ、その和声的機能は主にトニック・メジャー代理である。

なお、ハーモニック・メジャー・スケールの3度のダイアトニック・コードを機械的につくると IIIm7 になるが、ハーモニック・メジャー・スケールの第3モードはオルタード・♯5・スケールであり、マイナー・セブンス・コードに対応する実用的なスケールとはいえない。 私は、ハーモニック・メジャー・スケールの3度のダイアトニック・コードは、このスケールに対応する III7 であると考えている。

トニック・メジャー代理 IIIm7

メジャー・キーにおける IIIm7 は、トニック・メジャー Imaj7I6)の代理コードである場合が多い。 このとき、対応するスケールフリジアンである。

トニック・マイナー IIIm7 は主に次のような曲で使われる。

  • The Days Of Wine And Roses(Henry Mancini)の9小節目

トニック・メジャー代理 III7 は、次のようなコードに進行することが多い。

また、IIIm7 へは、次のようなコードから進行することが多い。

IIIm7 は、ベース音が3度のトニック・メジャー III/I ととてもよく似ているので、実際によく混同される。 I/IIIIIIm7 は、いずれも和声的機能はトニック・メジャー代理で、ベース音III階名「ミ」)で、スケールのもすべて共通している。 一番の相違点は、メロディトップ・ノート)に、階名「ド」を受け入れることができるかである。

よって、ストレート・メロディ強拍などに、階名「ド」が含まれていれば、たとえコード・シンボルとして IIIm7 が書かれていても、気の利くピアニストやギタリストであれば III/I に読み替えて演奏する。

ただし、テーマのメロディに関わらずソロになれば、IIIm7 のほうが自然なケースもある。 したがって、たとえ I/III と表記されていたとしても IIIm7 と演奏するほうが適切な場合もある。

VI7 に先行する関係コード IIIm7

IIIm7 は、IIIm7(♭5) と同様に II へのドミナント VI7関係コードとして先行することがある。

対応するスケールは、メジャー・キーの場合は原則としてフリジアンで、前項で説明したトニック・メジャー代理を兼ねていることが多い。

ところが、VI7 に先行する関係コード IIIm7 が、ドリアンであることもある。 IIIm7 に対応するスケールがドリアンであることを明示する必要があるとき、コード・シンボル は、IIIm79 のように長9度のテンションを明示するとよい。

メジャー・キーにおける IIIm7 がドリアンとなる例として次のようなものがある。

  • Satin Doll(D. Ellington, B. Strayhorn)3小節目前半、4小節目前半(演奏の仕方によってはは3小節目)