IVmaj7
IV6 とともに、ナチュラル・メジャー・スケールの4度のダイアトニック・コードで、対応するスケールは、原則としてナチュラル・メジャー・スケールの第4モードであるリディアンである。
Imaj7 は I6 とともにサブドミナント・メジャーであり、メジャー・キーにおいてもっとも代表的な和声的機能をもつ。
なお、IVmaj7 と I6 は、実質的にほとんど同じコードとみなされる。 よって、以下の説明は原則として、I6 についてもあてはまる。
サブドミナント・メジャー IVmaj7
サブドミナント・メジャー IVmaj7 は、メジャー・キーにおける代表的なコードの1つで、メジャー・キーのほとんどの曲で使われ、その和声的機能はサブドミナント・メジャーである。
なお、メロディがルート(階名「ファ」)のとき、メロディと長7度のコード・トーンとの半音または短9度の衝突を避けるため、IVmaj7 に代えて IV6 で演奏される。
対応するスケールはリディアンとされる。 一般に、リディアンに対応するメジャー・コードは、増11度のテンションが好まれる傾向にある。 ところが、サブドミナント・メジャー IVmaj7 については、このテンションが強調されることはそれほど多くないだろう。 また、ソロのフレーズが結果としてアイオニアンに基づいているケースもある。 リディアンとアイオニアンの相違点は、スケールの4度が増4度か完全4度かであり、サブドミナント・メジャー IVmaj7 において増11度のテンションが強調されない傾向があるために、どちらのスケールであるかはさほど意識する必要もないと思われる。 このとき、IVmaj7' を、次項の下属調のトニック・メジャーとみなすか否かは判断が分かれるところだろう。
また、メロディや曲想がブルージーなとき、IVmaj7 に代えて ブルージーなサブドミナント・メジャーとしての IV7 が使われることもある。
サブドミナント・メジャー IVmaj7 は、トニック・メジャー Imaj7(I6)とその代理コード(特にIIIm7)、サブドミナント・マイナー IVmmaj7(IVm6)とその代理コード♭VII7、ドミナント V7(関係コードが先行する場合も含む)、平行調のドミナント III7(同上)、トニック・ディミニッシュ ♯IVdim7 などに進行する。
また、サブドミナント・メジャー IVmaj7 に進行するコードとして、メジャー・キー の基本的なコードであるトニック・メジャー Imaj7(I6)とその代理コード(特に IIIm7)やドミナント V7 のほか、サブドミナントへのセカンダリ・ドミナント I7(関係コードが先行する場合も含む)やその代理コード ♯IV7(♭V7)や III7 から進行することが多い。
平行調のトニック・メジャー IVmaj7
IVmaj7 が、トーナル・センターの4度上のメジャー・キー(もとのキーもメジャー・キーのとき下属調)のトニック・メジャーである場合もある。 このとき、一時的な転調が生じていることになる。 対応するスケールは原則としてアイオニアン。
このような事例は以下の通り。
- Strike Up The Band(George Gershwin)9-10小節目と15小節目