IIm-IImmaj7-IIm7-V7
IIm-IImmaj7-IIm7-V7 は、いわゆる「トゥ・ファイブ」IIm7-V7のバリエーションで、ドミナント V7 に先行する関係コード IIm7 の部分がクリシェとなっているものである。
このクリシェのラインは、階名「レ-ド♯-ド-シ」である。
このラインを明確にするため、最初のコードは IIm のようにトライアドで記されるが、実体は IIm7 であり、対応するスケールはドリアンであろう。
次の、IImmaj7 には原則としてアイオニアン♯3が対応するが、後述するように、この進行を IIm7-VI7-IIm7-V7 のバリエーションだと考えた場合には、エオリアン♯7が対応すると考えることもできるかもしれない。
その次の IIm7 にはドリアンが対応する。
そして、V7 には原則としてミクソリディアンが対応する。 ドミナント V7 にはさまざまなスケールが対応し、この場合もミクソリディアン以外のスケールとなるケースもあるだろう。 しかし、クリシェのラインが不明確になる増9度のテンションを伴うオルタード・スケールや半音-全音ディミニッシュ・スケールが対応するようなケースはほとんどないものと考えられる。
このラインで演奏することがある曲には次のような例がある。
- Tenor Madness(Sonny Rollins)の9-10小節目(ただし実際の録音は必ずしもこのように演奏していない)
- When You're Smiling(L. Shay, M. Fisher, J. Goodwin)の5-8小節目
IIm7-VI7-IIm7-V7 との関係
IIm-IImmaj7-IIm7-V7 のクリシェである階名「レ-ド♯-ド-シ」のラインを内声に含む進行に IIm7-VI7-IIm7-V7 がある。 これらは、互いにそれぞれの変形であると考えることもできる。
また、IIm-IImmaj7-IIm7-V7 というコード進行に対して、演奏中、IIm7-VI7-IIm7-V7 にリハーモナイズされることもあるだろう。
このとき、VI7 は、次の IIm7 へのセカンダリ・ドミナントであろう。 このときの VI7 に対応しうるスケールは、原則としてフリジアン♯3となる。
また、ピアニストやギタリストの弾く VI7 に対してもしベーシストが IImmaj7 のつもりで II を弾いた場合、VI7/II のように響くことになるが、その場合、VI7 に対応するフリジアン♯3は、IImmaj7 のルートから見るとロクリアン♯7になる。
さらにVI7/II は Vdim7/II と書くこともできよう。 このとき、VI7/II に対応するスケールとして、VI から始まる半音-全音ディミニッシュ・スケールをあげることができるのかもしれない。
Im-Immaj7-Im7-IV7 との関係
IIm-IImmaj7-IIm7-V7 のなかには、II をトーナル・センターとするマイナー・キーに一時的に転調していると考えられるケースがある。 このとき、IIm-IImmaj7-IIm7-V7 は、Im-Immaj7-Im7-IV7 ということになるだろう。
このようなケースには、次のような曲がある。
- Confirmation(Charlie Parker)の17-18小節目(ただし本人の録音はこのようなクリシェのコード進行で演奏をしていない)
- When You're Smiling(L. Shay, M. Fisher, J. Goodwin)の5-8小節目(5小節目を IIm(7) と考えるか Im とみなすかは意見が分かれそうである)