♭IIImaj7

提供:コード辞典

ナチュラル・マイナー・スケールの3度のダイアトニック・コード。 また、マイナー・スケールとしてのドリアンの3度のダイアトニック・コードと考えることもできる。

マイナー・キーにおいて対応するスケールは、ナチュラル・マイナー・スケールの第3モードであるアイオニアン、または、マイナー・スケールとしてのドリアンの第3モードとしてのリディアンが対応する。 また、メジャー・キーで対応するスケールは、原則としてリディアンである。

マイナー・キーにおいて特に特定の和声的機能はなく、一時的な転調先である平行調トニック・メジャーであることほとんどである。

メジャー・キーにおいては、タッド・ダメロン・ターンアラウンドのなかで使われるほか、楽曲中に突然使われることがある。

マイナー・キーの ♭IIImaj7

マイナー・キーにおける ♭IIImaj7 は、主として平行調トニック・メジャーであるが、トニック・マイナー代理のケースが考えられる。

いずれも対応するスケールは、アイオニアンまたはリディアン

平行調のトニック・メジャー ♭IIImaj7

マイナー・ブルースを除けば、ジャズで演奏されるほぼすべてのマイナー・キーの曲は平行調に一時的に転調する。 また、マイナー・キーで始まって平行調のメジャー・キーで終わる曲や、メジャー・キーで始まって平行調のマイナー・キーで終わる曲も多い。

したがって、マイナー・キーのほとんどの曲で見かけ上 ♭IIImaj7 が使われていることになるが、これは、平行調のトニック・メジャー Imaj7 である。

トニック・マイナー・代理 ♭IIImaj7

マイナー・キーの ♭IIImaj7 が、トニック・マイナー Im7代理コードであるケースもあるだろう。

メジャー・キーの ♭IIImaj7

メジャー・キーにおいて、♭IIImaj7 が唐突に使われることがある。 対応するスケールは原則としてリディアン。 タッド・ダメロン・ターンアラウンドのなかで使われる場合も含めて、トニック・メジャーから進行する場合が多い。 このような例として次のようなものをあげることができる。

  • Night And Day(Cole Poter)の31-34小節目
  • On Green Dolphtin Street(Bronisław Kaper)の1-4小節目

On Green Dolphtin Street(Bronisław Kaper)の1-4小節目は、Imaj7-♭IIImaj7と演奏することもできるけれども、Imaj7-Im7と演奏されることもある。 このとき Im7同主調トニック・マイナーであるから、♭IIImaj7 をトニック・マイナーの代理コードとみなすという意見もある。 確かに、Im7マイナー・スケールとしてのドリアンにもとづいているとすれば、♭IIImaj7 のリディアンとスケールのがすべて共通するので、そのような考え方はできると思われる。