「ディミニッシュ・コード」の版間の差分
Naoki Yoshioka (トーク | 投稿記録) ページの作成:「ジャズでは、ディミニッシュ・トライアドを単独で用いることはほとんどないので、単に「ディミニッシュ・コード」といったときは、ほとんどの場合ディミニッシュ・セブンス・コード(減七和音)を指す。 当サイトでも、特に断りのない場合、ディミニッシュ・コードという語をディミニッシュ・セブンス・コードの同義語として用い…」 |
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2024年10月13日 (日) 23:45時点における最新版
ジャズでは、ディミニッシュ・トライアドを単独で用いることはほとんどないので、単に「ディミニッシュ・コード」といったときは、ほとんどの場合ディミニッシュ・セブンス・コード(減七和音)を指す。 当サイトでも、特に断りのない場合、ディミニッシュ・コードという語をディミニッシュ・セブンス・コードの同義語として用いる。
ルート、短3度、減5度、減7度をコード・トーンに持つ。 ただし、ディミニッシュ・スケールに対応する場合は、コード・トーンを異名同音に置き換えられることも多い。 コード・シンボルは、ルートの音名に dim7 を付ける。
ディミニッシュ・コードに対応するスケールとテンション
ディミニッシュ・コードに対応するスケールは、ディミニッシュ・スケールのほか、スーパー・ロクリアン♭7、リディアン♯2、リディアン♭3などがある。
ディミニッシュ・スケールに対応するディミニッシュ・コードは、それぞれのコード・トーンの全音上にあたる音をテンションのように使うことができる。 ただし、トップ・ノートと短9度音程や短2度音程ができる場合はこの限りではない。 また、ボイシングに際しては、ほかの内声と短9度音程ができないよう注意する必要がある。
スーパー・ロクリアン♭7に対応するディミニッシュ・コードについては、短9度、減4度の音がアボイドである。 短6度の音はテンションのように使うことができる。
リディアン♯2に対応するディミニッシュ・コードでは、長3度がアボイドで、長7度をテンションのように使うことができる。
リディアン♭3に対応するディミニッシュ・コードでは、完全5度がアボイドで、長2度、長7度の音はテンションのように使うことができる。
ロクリアン♭7に対応するディミニッシュ・コードでは、短2度がアボイドで、完全4度、短6度の音はテンションのように使うことができる。
いずれの場合もテンションのように使うことのできる音をコード・シンボルとして明示されることはないが、どうしても明示したい場合は、まれに add B のように音名で指定することがある。
なお、ディミニッシュ・スケールに対応しないディミニッシュ・スケールは短9度のテンションをもつドミナント・セブンス・コードのベース音指定であらわすことができる。 このようなディミニッシュ・コードを、私は「偽ディミニッシュ」というニックネームで呼んで区別している。
ディミニッシュ・コードとそれに対応するスケールを以下に示す(Tはテンションとして使える可能性がある音を示す)。
スケール名 | スケールとテンション、アボイド | 備考 |
---|---|---|
ディミニッシュ | 1 2(T) ♭3 4(T) ♭5 ♭6(T)6 7(T) | 異名同音を区別せず |
ドリアン♯4 | 1 2(T) ♭3 ♯4 5(アボイド) 6 ♭7(アボイド) | [ハーモニック・マイナー・スケール]の第4[モード] |
リディアン♯2 | 1 ♯2 3(アボイド) ♯4 5(アボイド)6 7(T) | ハーモニック・マイナー・スケールの第6モード |
スーパー・ロクリアン♭7 | 1 ♭2(アボイド) ♭3 ♭4(アボイド) ♭5 ♭6(T)♭♭7 | ハーモニック・マイナー・スケールの第7モード |
リディアン♭3 | 1 2(T) ♭3 ♯4 5(アボイド)6 7(T) | [ハーモニック・メジャー・スケール]の第4モード |
リディアン♯2♯5 | 1 ♯2 3(アボイド) ♯4 ♯5(T)6 7(T) | ハーモニック・メジャー・スケールの第6モード |
ロクリアン♭7 | 1 ♭2(アボイド) ♭3 4(T) ♭5 ♭6(T)♭♭7 | ハーモニック・メジャー・スケールの第7モード |
ディミニッシュ・スケール以外は、ハーモニック・マイナー・スケールとハーモニック・メジャー・スケールに由来する。
ディミニッシュ・コードと異名同音
西洋音楽では異名同音は原則として区別する。 しかし、ディミニッシュ・スケールを前提としたディミニッシュ・コードにおいては異名同音を区別しなくてもよい。 なぜならば、音名や記譜のシステムは7音音階を前提にしているが、ディミニッシュ・スケールは8音音階であり異名同音を厳格に守る意義がないからである。
したがって、Cdim7 のコード・トーンは、異名同音を区別するという前提に立つならばC・E♭・G♭・B♭♭であるが、 これがディミニッシュ・スケールを前提として使われている場合にはB♭♭をAに代えて表記しても差し支えない。 同様に、E♭をD♯に、また、G♭をF♯としてもよろしい。
ディミニッシュ・コードの転回と3つのグループ
ディミニッシュ・コードの第1転回形は、コード・トーンの短3度をルートとするディミニッシュ・コードの基本形となる。 同様に、ディミニッシュ・コードの第2転回形、第3転回形はそれぞれコード・トーンの5度、7度をルートとするディミニッシュ・コードの基本形となる(以下譜例参照。ここでは異名同音を区別していない)。
したがって、異名同音を区別しなければ、12のディミニッシュ・コードを以下の3つのグループに分けることができる。 それぞれのグループに属するディミニッシュ・コードは共通のコード・トーンを持つ。
- Cdim7、D♯dim7(E♭dim7)、F♯dim7(G♭dim7)、Adim7
- C♯dim7(D♭dim7)、Edim7、Gdim7、A♯dim7(B♭dim7)
- Ddim7、Fdim7、G♯dim7(A♭dim7)、Bdim7
さらに、曲中のディミニッシュ・コードをトーナル・センターとの関係から 以下の3つのグループに分類することも可能である。
- トニック・ディミニッシュ
- Idim7、♯IIdim7(♭IIIdim7)、♯IVdim7(♭Vdim7)、VIdim7
- サブドミナント・ディミニッシュ
- IVdim7、♯Vdim7(♭VIdim7)、VIIdim7、IIdim7
- ドミナント・ディミニッシュ
- Vdim7、♯VIdim7(♭VIIdim7)、♯Idim7(♭IIdim7)、IIIdim7、
トニック・ディミニッシュは一般的によく使われる用語であるが、サブドミナント・ディミニッシュとドミナント・ディミニッシュは私が仮に付けた名称であり一般的な用語ではない。
ディミニッシュ・コードの主な和声的機能
ディミニッシュ・コードの主な和声的機能と対応するスケールは次の通り。
- Idim7、♭IIIdim7、♯IVdim7、VIdim7
- トニック・ディミニッシュ。原則としてディミニッシュ・スケール。
- ♯Idim7
- メジャー・キーにおける ♯Idim7は、ほとんどの場合 [VI7](♭9)のルート省略(あるいはベース音を長3度に指定)したものである。いわゆる「偽ディミニッシュ」。スケールはスーパー・ロクリアン♭7。
- ♭VIdim7
- ほとんどの場合V7(♭9)/♭VIである。大半の場合ディミニッシュ・スケールとなる。しかし、メジャー・キーの場合リディアン♯2♯5に、また、マイナー・キーの場合リディアン♯2になることがあり、これらときはいわゆる「偽ディミニッシュ」といえる。
- IVdim7
- 多くの場合、@sansserif{V7@sup{(♭9)}/IV}である。また、トニック・ペダル・ポイントのときに使われることもある(IVdim/I)。ディミニッシュ・スケールが対応するときもあるが、メジャー・キーの場合リディアン♭3、マイナー・キーの場合ドリアン♯4となることもある。
ディミニッシュ・コードと短9度のテンションを持つドミナント・セブンス・コード
ディミニッシュ・コードが実質的に、短9度のテンションを持つドミナント・セブンス・コードのルート省略したもの(あるいは、コード・トーンの3度をベース音としたもの)であるケースがある。
例えば、C7(♭9)/E はふつう Edim7 と表記される。すなわち、Edim7 が実質的に C7(♭9)/E}である可能性があるということだ。
同様に、短9度のテンションを持つドミナント・セブンス・コードのベース音がコード・トーンの5度や7度、あるいは短9度のテンションとなるとき、それらはディミニッシュ・コードとして表記されることがある。 例えば、C7(♭9)}/G、C7(♭9)/B♭、C7(♭9)/D♭は、それぞれ、Gdim7、B♭dim7、D♭dim7 のように表記されることがある。
別の視点から見ると、さきほどの Edim7 は、実質的に C7(♭9)/E のほか、D♯7(♭9)/E、G♭7(♭9)/E、A7(♭9)/E である可能性がある。