Im7

提供:コード辞典
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ナチュラル・マイナー・スケールの1度のダイアトニック・コード。 また、ドリアンマイナー・スケールの一種として考える場合、その1度のダイアトニック・コードでもある。

マイナー・キーのIm7

Im6Immaj7 とともに、トニック・マイナーとなるコード

トニック・マイナーは、マイナー・キーのもっとも基本となる和声的機能で、あらゆるコードに進行することができるとされる。

Im7 に対応するスケールは原則として エオリアンだが、ドリアンである場合もある。

Im7とドリアン

トニック・マイナー Im7 に対してドリアンを対応させることについて慎重意見、あるいは反対意見がある。

私は、コードをそのキーとの関係で理解することが不可欠だと考えているので、マイナー・セブンス・コードドリアンを安直に結びつけるのではなく、そのマイナー・コード和声的機能を理解してから判断すべきだと考える。 よって慎重意見には同意する。

しかしながら、頑なな反対意見に対して同意できない。 確かに西洋音楽においてトニック・マイナー Im7ではドリアンではなくエオリアンが対応するべきだろう。 しかし、遅くとも20世紀のジャズにおいて Im7 に対してドリアンを想定しないわけにはいかない。

実際にトニック・マイナー Im7 でエオリアンではなくドリアンが想定できる曲には次のようなものがある。

  • Jennine(Duke Pearson)1--8小節目。
  • Invitation(Bronislaw Kaper)1--4小節目
  • Ornithology(C. Parker, B. Harris)3小節目。ただし、短7度上のIIm7とピボット。

なお、ドリアンとなる Im7 に近接しているか、これを置き換えているトニック・マイナー代理 IV7Ornithology の4小節目のようにピボットとなるものも含む)に対応するスケールは、ミクソリディアンであることが多い(Im#ドリアンとトニック・マイナーおよびその代理コード参照)。 なお、ミクソリディアンは、マイナー・スケールとしてのドリアンの第4モードといえる。

Im7に対応するスケールとテンション

エオリアンドリアンのいずれに対応する場合も完全11度のテンションを使うことができる。 また、長9度のテンションは、トップ・ノートコード・トーンの短3度がくるとき短9度音程ができるので使うことができないが、それ以外は使うことができる。

対応するスケールがドリアンのとき、長13度の音を使うことができるが、トップ・ノートにコード・トーンの短7度がくるときは短9度音程ができるので使うことができない。

対応するスケールがエオリアンのとき、短6度の音はアボイドである。

トニック・マイナー Im7 の代理コード

トニック・マイナー Im7代理コードとして、♭VImaj7VI7VIm7(♭5) が知られている。

このうち、♭VImaj7 に対応するスケールはリディアン(ナチュラル・マイナー・スケールの第6モード)であるため、 エオリアンに対応する Im7 とスケールを共有しているといえる。 Im7-♭VImaj7 のように進行するとき、Im7 はエオリアンであることが多い。

一方、VI7 がトニック・マイナー代理のとき、メロディック・マイナー・スケールの第4モードであるミクソリディアン♯4や、マイナー・スケールの一種としてのドリアンの第4モードであるミクソリディアンに対応する。

よって、Im7VI7 に進行するとき、Im7 はドリアンとなっている場合が多い。

また、短7度上のメジャー・キーに転調するときでIm7-VI7 が転調先の IIm7-V7ピボットになっている場合、Im7 はドリアンになる傾向がある。 なぜなら、転調先のメジャー・キーの IIm7 に対応するスケールがドリアンだからである。

メジャー・キーのIm7

同主調トニック・マイナーである。 一時的な転調か、ピボットとして機能しているケースが多い。

いずれも和声的機能や対応するスケールなどは、マイナー・キーの場合に準じる。

メジャー・コードにおける Im7 には次のようなケースがある。

  • How High The Moon(Morgan Lewis)の3小節目(短7度上のメジャー・キーの@sansserif{IIm7}とのピボット。対応するスケールはドリアン)